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松村太郎「米国発ビジネス&ITレポート」

Amazon EchoとGoogle Homeを1年間、自宅で使い倒してわかったこと

文=松村太郎/ITジャーナリスト
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声のコンピューティングの未来はあるか

 筆者はGoogle Homeを介してGoogleアシスタントをキッチンやリビングで使い、iPhoneやApple Watch、iPad、Mac、Apple TVでSiriを使っている。比較的、声のコンピューティングを多用しているほうだ。

 特にApple WatchやApple TVのように、スマートフォンやパソコンのような快適な入力環境がないデバイスにとって、音声による入力は非常に有効だ。声での文字入力やアプリへの命令に慣れてくると、スマートフォンの文字入力も声のほうが素早くなる。もっとも、公共空間では利用が難しいというデメリットもある。
筆者は、スマートスピーカーが、スマートフォンに匹敵する、人々の生活を変革するデバイスに成長するとは考えていない。もしコンピューティングの未来が「音声」であっても、その未来を主導するのは引き続きスマートフォンになると考えている。

 その理由は、1000万台を超えてきた普及台数のスマートスピーカーよりも、Androidだけでも20億台がアクティブなスマートフォンのほうが、より多様なライフスタイルにフィットし、より多くの人々に影響を与えることができるからだ。

 スマートスピーカーに関するテクノロジー企業大手の争いは、現在主導権を取っているAmazonに対して圧倒的に不利だ。GoogleもAppleも、AndroidやiPhoneといったスマートフォンをコントロールしており、台数や普及の面で、スマートスピーカーがこれらを上回ることはあり得ないと考えているからだ。そしてそのアイディアは、おそらく正しい。GoogleもAppleも、音声アシスタントに対して直接文字入力で質問したり、カメラの画像で検索させるといった、声以外の人工知能アシスタントの活用を取り入れている。

 この2社の行動は、声のコンピューティングが未来ではなく、人工知能アシスタントを活用するコンピューティングが未来だ、ということに気づかせてくれるのだ。

仲間をつくるのが得意な人工知能はAmazon Alexa

 現代のコンピューティングがスマートデバイスから人工知能へと移行していく。そんなトレンドを見いだすことができる一方で、Appleが取り組んできた「アプリによるエコシステム」での発展を、人工知能アシスタントで実現しているのはAmazonだ。

 Amazonの人工知能Alexaにはすでに1万を超えるスキル(アプリ)が開発者によってつくられており、対応するスマート家電をはじめとした製品は増え続けている。さらに、Alexaを内蔵するAmazon製品以外のスピーカーや自動車まで登場し始めた。

 エコシステムを築き、拡大させているのはAmazonだ。Googleもサードパーティーの製品やサービスを取り入れ始めているし、AppleもSiriからアプリを操作する仕組みを実現しているが、いずれも音声アシスタントの連携の面で、Amazonを上回るものではない。

 問題は、Alexaに対応する、あるいは搭載する製品は、Alexa対応を付加価値にする以外に、ビジネス拡大の手段にはできていない点だ。音声アシスタントが、それらの製品の価値を決めるものではないという意味で、消費者が製品を選ぶ際に重視する要素には「まだ」なっていないのだ。
(文=松村太郎/ITジャーナリスト)

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