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京大iPS研・ねつ造事件、その重大な問題点…調査の焦点は「組織の風土」

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記者会見で頭を下げる山中伸弥・京大iPS細胞研究所所長(手前)ら(読売新聞/アフロ)

 京都大学iPS細胞研究所の山水康平助教が、脳の血管内皮細胞をつくり出すことに成功したとする昨年3月発表の論文に、データのねつ造と改ざんが発覚した。1月24日の講演会で同研究所の山中伸弥所長は、「私たちの信用が一夜にして失われてしまった」と改めて謝罪した。世界最先端の研究を進めている同研究所で、なぜ不正は起きたのか。元東京大学医科学研究所特任教授であり、医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏は語る。

「学者として出世するために、実績がほしかった。実績をつくることによって、研究費を得たかった。金と地位、この2つでしょう」

 論文不正を発表した22日の記者会見で山中所長は、「所長の進退も含め、責任の取り方を考えたい」と発言。辞めないでほしいという声が各界から湧き上がった。24日の講演会では、不正発生の検証、再発防止の仕組みづくりのために、所長を続ける意向を明らかにした。

「山中教授は日本の科学界のスターですし、余人をもって代えがたいというのは事実です。ご自身の進退をかけるというくらいの覚悟で、不正の原因を調べられるんだと思います。京都大学は山水助教がかかわった研究を、すべてチェックする必要があります。不正が発覚した研究者の過去の研究を改めて調査すると、ほかにもたくさん不正が見つかる場合が多いのです。いきなり大きな不正をするというケースは少ないのです。また、山水助教だけの問題なのか、他者も関与していたかというのが大きなポイントです。今後調査しないとわかりませんが、この助教個人の問題なのか、研究所の風土の問題なのか。チーム全体が改ざんしてるから皆もするというケースもあります。風土の問題となった場合は、当然所長としての監督責任はあると思います。山中さん自身が言っているように、所長として今行うべき責務は調査することなので、今辞めるのはむしろ責任放棄になるでしょう。結果が出た後にどう責任を取るかは、山中さんなのできちんとされると思います」

 同研究所の調査に、期待を持っていいということだろうか。

「内部で確認して自ら不正を発表した。今回の京都大学の対応は早かったです。東大でもいくつもの論文の不正が指摘されましたが、分子細胞学研究所は不正を認めましたが、医学部はまったく不正を認めませんでした。大学で起きた事件としては、大阪大学は昨年の入試試験で採点ミスがありました。これによって不合格となっていた受験生を追加合格とするということですが、若い時期の大事な1年間を無駄にさせておいて、担当教授や理事は出処進退に言及していません。東大や阪大と比べると、山中さんの対応ははるかに立派だと思います」

 ここ数年、日本の科学界では不正事件が目立つが、信頼を取り戻せるように、京都大学の取り組みに期待したい。
(文=深笛義也/ライター)

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