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超高収益JALへの「特別待遇措置」…法人税減税、借金5千億棒引き、46万人の株主に損失

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稲盛和夫氏が持ち込んだ部門別採算制度

 JALが10年に倒産した際、稲盛氏は民主党政権の要請で、無給を条件にJALの会長を引き受けた。百戦練磨の経営者である稲盛氏は、JALの致命的な欠陥をすぐに見抜き、就任早々に「日航は八百屋も経営できない」と批判して多くの社員を憤慨させた。驚くべきことに、JALには利益について責任を持つ人物が誰もいなかったのだ。だからこそ「八百屋も経営できない」と喝破したのだ。

 稲盛氏は会長就任直後、経営企画室の解体に乗り出した。運航や営業など現場を知らない一部スタッフが路線や投資計画など会社のあらゆる重要方針を計画立案し、上意下達で組織に下ろす。それにもかかわらず、彼らは結果に責任を負わない。無謀な拡大路線に走らせる原因となっただけでなく、この部署がJALのエリート意識と官僚主義を生む元凶と、稲盛氏は見なしたのだ。

 稲盛氏はただちに、より現場に近い部門に権限を分散させ、経営企画部を解体した。重要な方針をオープンな場で議論することにし、表と裏で情報を使い分けて人を動かすことに長けた官僚タイプを封じ込めた。経営管理部と路線本部を発展させた路線統括本部が、路線開設についてのすべての権限と収益に責任を持つ体制に改めた。

 路線統括本部が、稲盛氏が再生の切り札として持ち込んだ部門別採算制度を統括する、JALのヘッドクォーターとなった。部門別採算制度は「アメーバ経営」と呼ばれ、稲盛経営哲学の核心である。

 稲盛氏は部門別採算制度の成果を高めるために、信賞必罰の実力主義人事を断行した。副社長に抜擢された人物が降格されたこともある。稲盛氏にとって、部門別採算制度の実践は、次期経営者の実地試験の場だった。部門別採算制度が順調に稼動するには、セクショナリズムを抑えるトップの強いリーダーシップが必要不可欠だったからである。

 12年2月、植木氏を社長に昇格させた。植木氏の社長抜擢は、まさにサプライズ人事だった。社長の登竜門といわれた経営企画や営業、労務部門の経験がなくパイロット出身。裏を返せば、パイロットであることが、稲盛人事のキーワードだった。

 経営そっちのけで内部抗争を繰り返したJALで、パイロットはしばしば先鋭化した。リストラしようにもスト権を行使されれば、飛行機が飛ばない事態を招く。これを恐れるあまり、過去に何度もパイロットのリストラ案は頓挫してきた。飛行機を止めるカードを握るパイロットの組合は強かった。

 そのパイロット部門のトップにいた植木氏は会議で「会社が生き残るには(パイロットのリストラは)避けて通れない」と発言し、破綻前に3000人超いたパイロットを半分に減らした。

 植木氏の言動が、再建にメドが付けば第一線を退くつもりだった稲盛氏の目にとまった。植木氏は稲盛直伝の部門別採算制度を路線管理で実行し、業績面でも寄与した。稲盛氏は植木氏を抜擢することで、喫緊の課題だった後継者問題にカタを付けた。ちなみに植木氏は、昭和期の剣戟映画の大スター、片岡千恵蔵の息子として有名だ。

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