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星野リゾート、民泊禁止の軽井沢で民泊参入検討…歓迎すべきと考えられる理由

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 軽井沢町民泊反対姿勢の背景には、外国人旅行者が急増した結果、乱開発が進み従来の景観が悪化するとの懸念もあるだろう。従来の行動様式や価値観とは異なるスタイルの人々が訪れることへの不安もあるかもしれない。

 乱開発を抑制する、あるいは自治体が重視してきた価値観を保っていくためには、地元の状況を熟知した企業のノウハウを活かして市場を形成し、参入障壁をつくることが重要だ。それができないと、目ざとい企業に土地などが買収され、地元の要望などとは異なるかたちで開発が進められる可能性が出てくる。その場合、事後的に対策を講じ、地域社会の意向に沿った開発を求めるのはかなり難しい。新法が施行されるタイミングは軽井沢での民泊のビジネスモデルを官民で整備するチャンスといえる。

地方自治体は民間企業のノウハウを活用せよ

 
 海外からの旅行者などがわが国にもたらすインバウンド需要の影響は無視できない。17年、外国人旅行者による消費額は4.4兆円に達した。これは、前年比18%の増加であり、過去5年連続で過去最高を更新した。中国政府の規制によって“爆買い”が抑制されていることなどから、一人あたりの消費額は減少している。それを、来訪客数の増加が補っている。わが国を訪問したいと思う海外の人は多いのである。国内の人口が減少していくなか、インバウンド需要の取り込みは各地方の将来を左右する問題だと考えたほうがよい。

 2020年、訪日外国人旅行者数を4,000万人にすることを政府は目指している。目標達成と切り離して考えても、これまでのトレンドが続くのであれば、海外からの旅行者数は増加するだろう。それをどう活かすかは、わが国の経済成長に無視できない影響を与える。

 今後は、各地の観光資源を活用して、欧米からの客数を伸ばすことが重要だ。そのためには、訴求力のある民泊サービスのビジネスモデルの構築と運営など、海外からわが国にもたらされる需要を取り込むための取り組みが欠かせない。地方自治体は民間企業のノウハウを活用して、地元に消費、雇用、所得がもたらされる仕組みを具体的に検討するべきだ。外国人とのコミュニケーションが不安、まちの景観が悪化するなど、直感的な理由をかざして、これまでの状況を守ろうとすることだけが重要なのではないはずだ。求められるのは、新しい取り組みとこれまでの価値観や行動様式をいかに持続可能な関係にしていくかだ。時には、従来の発想とは大きく異なる判断が必要になることもあるだろう。

 そのためには、わが国の事情を理解した企業の取り組みを引き出すことが欠かせない。政府は規制緩和を進め、その効果が地域社会での産業育成と振興に直結するよう、制度の設計を行うべきだ。その上で、地方自治体と企業が連携して、市場原理を活用しながら多様なステークホルダーから共感されるビジネスの創造と育成に資源を投じるべきだろう。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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