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東京、外国人観光客離れでホテル大余剰&価格破壊の懸念…民泊解禁がダメ押し

文=小川裕夫/フリーランスライター
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東京、外国人観光客離れでホテル大余剰&価格破壊の懸念…民泊解禁がダメ押しの画像1「Thinkstock」より

 訪日外国人観光客が急増した昨年、政府は国家戦略特区を活用して民泊を解禁している。そのトップランナーになったのが、東京都大田区だ。大田区は区内に羽田空港を抱える。羽田空港を発着する航空機の大半は国内線だが、中国や韓国、台湾など近隣の東アジア諸国発着便も多い。くわえて、近年は北米や東南アジアの発着便も増加しており、もはや国際空港といえる。

 政府は観光ビザを緩和するなど、訪日外国人観光客の誘致に力を入れてきた。安倍政権は観光立国を推進しており、2020年までにその数を年間4000万人にまで押し上げる目標を立てている。

 多くの訪日外国人観光客が押し寄せるなか、観光業界が頭を悩ませていたのが宿泊施設の整備だ。ホテルや旅館などの宿泊施設は観光業界において肝ともいえる部分。宿泊施設が充実しなければ、外国人観光客の誘致など夢のまた夢なのだ。

 とはいえ、ホテルや旅館を建設する民間事業者は新規建設に慎重な姿勢を見せている。

「訪日外国人観光客は水モノ。瞬間風速的には爆発的に増加することもあるが、ブームがしぼめばパタリと客足が途絶えてしまう可能性がある」(観光業界関係者)

 しかし、宿泊施設が整備されなければ、そもそも訪日外国人観光客を増やすことはできない。観光立国を目指す政府は「タマゴが先か、ニワトリが先か」といったジレンマを抱える。

 国家戦略特区によって、14年4月に鳴り物入りで民泊は解禁。大田区に続き大阪府も全域で民泊の導入に踏み切っている。国家戦略特区による民泊の導入は、その後に要件がさらに緩和されるなど拡大の一途を続けている。

 そうした民泊が広がりを見せるのと同時に、事前から想定されていたように民泊施設に宿泊する外国人観光客と近隣住民のトラブルが頻繁に報告されるようにもなっている。住民の生活を脅かす民泊だが、今年6月からは住宅宿泊事業法が施行される。同法は民泊新法とも呼ばれる法律で、これにより民泊は全国で可能になる。つまり、実質的に民泊が解禁されることを意味する。

市町村による自衛

 民泊新法を制定してまで宿泊事業者を増やそうと躍起になる背景には、政府が外国人観光客をさらに増やそうと力を入れていることが挙げられる。ある地方自治体の観光担当者は、こう話す。

「20年の東京五輪が開催されることも理由のひとつとしてはあるでしょうが、なによりも訪日外国人観光客の増加による経済効果が大きいと思います。アベノミクスが成功しているといわれても、実際は日本銀行の異次元緩和によって株価が押し上げられているだけ。足元の実体経済の動きは鈍い。そんななか、安倍政権の経済政策のなかでも数少ない成功例が訪日外国人観光客の増加です。訪日外国人観光客の消費によって、アベノミクスから縁遠い中小企業や個人商店などが潤い、不満を抑えられるというわけです」

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