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武神健之「優良健康文化をつくるために」

働き方改革で今起きている現実…課長&部長は残業増加、若手は仕事放って帰宅→成長鈍化

文=武神健之/医師、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事
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 3つめは、早く帰るということを積極的に受け入れる社員もいる一方、帰れと言っても帰らない社員たちがいるということです。

 最近の若手社員は、「上司に命令されたから残業する」という意識が以前より希薄なようで、上司からの仕事の命令を断ってアフターファイブやプレミアムフライデーを楽しんだりしている職場もありました。一方、早く帰ってもやることがないから帰らない、早く帰っても何をやればいいのかわからないから帰らない、そのような社員たちは、働き方改革抵抗勢力となっていました。

 働き方改革のなかでこのような課題に直面し、産業医の私が感じたのは、「そもそも働き方とはなんなのか」ということでした。

働き方=やりがい×裁量権

 一般的に働き方とは、通常の定時勤務のほかに(長時間を含む)労働時間、フレックス勤務の種類、短縮勤務、そのほか育児休暇や介護休暇などを指します。上手な働き方により、健康を保ち、充実した仕事とプライベートを目指すことの大切さは、誰もが疑わないと思います。

 私は、この働き方の根底には大きく2つの要素があると考えます。それは「やりがい」と「裁量権(コントロール度)」です。

 やりがいとは、一人ひとりの社員が仕事で自己成長を感じているか、職場からの評価を感じているか。ときにはなぜ自分がその職場で働いているのか、その意味を認識しているかということです。このやりがいの有無により、疲労が病気につながるかが決まると思います。
 
 また、就職先や転職先がハードな労働環境でも、なぜ自分がそこに職を求めたのか明確なら耐えられます。一方、あまり考えずになんとなくその会社に就職(転職)した人ほど、早くに潰れてしまう傾向があります。

 2つめの要素である裁量権とは、職場におけるコントロールの度合いのことです。自分が決めたり、選ぶことができる範囲が大きい人ほど、疲労度は少ない傾向にあります。どの仕事を同僚や部下に任せて、自分は何に集中するかを選択できる人、自己決定権が大きい人は、遅くまで働いても、ストレス度は少ない傾向にあります。仕事相手を選べる人、フリーデスク制で苦手な人からは離れて座ることのできる人も職場における心の疲労度は少ないです。

会社だけでなく個々の社員の意識改革も必要

 
 こう考えてみると、働き方改革とは、会社がトップダウンで行う労働(残業)時間の短縮だけではありません。すべての会社が、長時間労働という社会的な問題を自社の問題として、残業時間を減らすことだけに注力するのではなく、社員一人ひとりが自分たちのやりがいや余暇の過ごし方なども見直すことが、今本当は求められているのだと感じた一年でした。
(文=武神健之/医師、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事)

●武神健之(たけがみ・けんじ)
医学博士、産業医、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。20以上のグローバル企業等で年間1000件、通算1万件以上の健康相談やストレス・メンタルヘルス相談を行い、働く人のココロとカラダの健康管理をサポートしている。著書に『職場のストレスが消える コミュニケーションの教科書―上司のための「みる・きく・はなす」技術 』(きずな出版)、『不安やストレスに悩まされない人が身につけている7つの習慣 』(産学社)、共著に『産業医・労働安全衛生担当者のためのストレスチェック制度対策まるわかり』(中外医学社)などがある。

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