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三越伊勢丹、ブランド力過信し成長停滞…前年比4割減益で赤字転落寸前

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント

三越伊勢丹の未来は暗い?

 伊勢丹と三越は老舗でブランド力がある。そのブランド力に惹かれる消費者は少なくない。しかし、ブランド力に甘えきっていることが三越伊勢丹HDの停滞につながっているとの指摘もある。「三越」や「伊勢丹」の看板があれば何もしなくても売れるという慢心がどこかにあるのだろう。

 一方、ライバルのJ.フロントはブランド力に甘えていない。たとえば、17年4月に開業したGINZA SIXが最たる例だ。GINZA SIXは、性別や商品の種類に応じて階ごとに売り場を分けるという従来の百貨店の商品分類にこだわらないフロア構成になっている。また、従来の百貨店で広く行われている、商品が売れたときに売り上げと仕入れを計上する「消化仕入れ方式」から脱却し、入居しているテナントから賃料を受け取る方式に軸足を移している。これまでのビジネスモデルにこだわらず、積極的なチャレンジを試みているのだ。三越伊勢丹HDには見られないものだろう。

“お家騒動”も影を落としている。17年3月31日付で大西洋社長(当時)を解任し杉江俊彦専務を社長に昇格させた人事がそれで、三越伊勢丹HDのイメージ悪化につながった。大西氏の改革に反発するかたちで杉江専務が社長になったと世間ではとらえられ、イメージの悪化に加え、改革の後退を印象付けることにもつながっている。

 こうした状況のなか、新たな体制で再出発することになったわけだが、今のままでは前途多難と言わざるを得ない。昨年11月7日に発表された21年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画の内容が、期待を裏切る乏しいものとなっていたためだ。当初掲げていた「19年3月期に営業利益500億円」という目標を取り下げ、「21年3月期までに350億円」と後退した目標を提示するなど、明るい材料は示されていない。

 17年4~12月期決算が増収・営業増益になるなど一部明るい話題もあるが、今後それが続く保証はどこにもない。逆に、痛みが和らいだことで改革のさらなる遅れにつながる可能性も否定できないだろう。いずれにしても、三越伊勢丹HDの苦悩はしばらく続きそうだ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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