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【アルマーニ標準服問題】「入学断念のご家庭出るかも」と文科省が懸念

取材・文=A4studio
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 武田氏は、ほかにもまだ問題点が多いと指摘を続ける。

「同校は標準服の購入が難しい家庭には、入学準備金の制度や就学援助の制度の情報を提供するそうですが、これは制度の拡大解釈だと感じます。こういった制度は、経済的な理由によって就学困難と認められる児童・生徒に対し支給されるものであり、高額なブランド標準服を購入するために支給されるものではないのです。ブランド服を買うために税金を使用させてもいいのかという、まったく別の議論も呼ぶことでしょう。

 また、これまでの判例上、教育行政において、校長の裁量権はかなり幅広く認められていますが、今回の一件が、それに拍車をかけてしまう恐れもあります。むしろ文部科学省、東京都教育委員会は、教職員や保護者が反対したとしても校長の意志を通すことができたという好事例、いわばリーダーシップ発揮の好事例と捉えるのではないでしょうか。

 もし、今回のアルマーニ標準服問題に、国民が自分の子どもの学校には関係がないからと批判しなかったり、お金のある保護者がむしろ歓迎の意を示したりすれば、これが前例となってさらに他の公立学校にも広がる恐れがあります。

 今回は標準服に関する問題でしたが、この校長の独断を前例として認めてしまえば、校長の一存で決定できることが増え、いわば校長のやりたい放題状態となることも懸念されます」(同)

 校長に権限が集中すれば、癒着問題も浮上してくるだろう。

「実際、今回も和田校長とアルマーニが癒着していなかったと言い切れるでしょうか。日本の公立小の標準服が海外高級ブランドである理由がきちんと説明されず、今現在、釈然としない以上、癒着疑惑が浮上するのは致し方ないのではないでしょうか。そして、標準服だけでなく、文房具などの持ち物まで高級ブランドに指定してしまうようになる可能性もゼロではありません。そうなれば、メーカーや業者が癒着目的に校長に群がってくるだろうことも、容易に想像できます」(同)

 泰明小学校は、保護者へは説明が不十分であったことに対しては謝罪したものの、標準服採用の方針は一貫して変えていない。誰もが平等に教育を受けることができる公立学校で、標準服を買うことができない児童が不当な扱いを受けるきっかけにもなりかねない今回の騒動、まだまだ波紋は広がり続けそうだ。
(取材・文=A4studio)

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