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インフルエンザに治療薬はない?通院でかえって感染拡大や免疫力低下の恐れも

文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

病院に何度も通い、かえって感染拡大の可能性も

 つい先日、テレビ番組のなかでインフルエンザが猛威を振るっているという話題があがり、コメンテーターが「絶対にインフルエンザだと思って病院に行って検査したら陰性と出たので、ほかの医療機関2カ所で検査をしたのですが、いずれも陰性といわれました」と話していました。私には、この発言の意図がどうしても理解できず、あらためて考察してみることにしました。

・インフルエンザだと確定してもらいたかった理由は?

 3カ所も医療機関を回ったということは、自身がインフルエンザだと思っているのに検査で陰性と出てしまうことに納得できなかったのだろう。インフルエンザだと断定してもらった上でどうしても抗インフルエンザ薬が欲しかったのだろう。または、マスコミに関係している立場からも、知らないうちに自分が感染源となることを避け、自宅待機としたかったのだろう。

・どうしてそんなに抗インフルエンザ薬が欲しかったのだろうか?

 多くの日本人が思っているように、「タミフルはインフルエンザの特効薬」だと思っているからだろう。抗インフルエンザ薬を服用することで早い復帰が期待できると考えたのだろう。

・3つの医療機関を回っている間に自分が感染源になるとは考えなかったのだろうか?

 ご本人は自分がインフルエンザだと確信していた。そうだとしたら、検査のために3カ所の医療機関を回るためには複数の交通機関も使い、待合室で長時間待ったと考えられ、その間にも不特定多数の人と接触した可能性がある。そのことで自分が感染源となって多くの人にインフルエンザをうつしてしまうことになるとは考えなかったのだろうか。

・この発言の意図には、どのようなことがあるか。

「少しでもインフルエンザの疑いがあったら医療機関を受診してください」
「インフルエンザかどうか診断してもらうことが大事です」
「インフルエンザだったら抗インフルエンザ薬を飲むことが大切です」
「知らなうちに他の人にうつしてしまうこともありますから検査しましょう」

 以上のようなことを訴えたいのかもしれません。

 インフルエンザの型を調べるために、家から出て病院に行くことが、ますますインフルエンザを流行らせる原因になり、また何度も病院に行けば体力を消耗し、インフルエンザウイルスと闘う自己免疫力を低下させる原因になっていると私は思うのですが、みなさんはどう思われるでしょうか。

 次回はインフルエンザのワクチン注射について説明したいと思います。
(文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士)

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

薬剤師として20年間医療の現場に身を置く中で、薬漬けの治療法に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」を目指す。現在は、自らの経験と栄養学・運動生理学などの豊富な知識を生かし、感じて食べる「感食」、楽しく歩く「ハッピーウォーク」を中心に、薬に頼らない健康法を多くの人々に伝えている。『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂出版)、『薬が病気をつくる』(あさ出版)、『日本人はなぜ、「薬」を飲み過ぎるのか?』(ベストセラーズ)、『薬剤師は抗がん剤を使わない』(廣済堂出版)など著書多数。最新刊は3月23日出版の『それでも「コレステロール薬」を飲みますか?』(河出書房新社)。

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