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堀田秀吾「ストレス社会を科学的に元気に生き抜く方法」

周りのデキる人に共通の習慣…とにかく&すぐにやり始める、ルーティン化

文=堀田秀吾/明治大学法学部教授
周りのデキる人に共通の習慣…とにかく&すぐにやり始める、ルーティン化の画像1「Thinkstock」より

 デスクトップの上に山積みになった処理すべき案件の山。やらなきゃ終わらない。でも、それを見るとゲンナリしてまたやる気がなくなるという悪循環に陥ったりしがちではありませんか?

 会社としての働き方は近年変わってきていますが、なかなか自分自身の働き方は変えられないもの。この仕事を溜めてしまう悪い癖をなんとかしたいものです。

 みなさんの周りの敏腕経営者やデキるビジネスパーソンなど社会で活躍している人には、共通な特徴があるのではないでしょうか。それは、彼らはとにかく行動が早いということです。

 たとえば、彼らにおもしろい本があると紹介すれば、その場でその本をネット注文したり、誰かを紹介したいという話になれば、その場で電話して会う段取りをしてしまったり、メール等の送信・返信が早かったりと、その行動のスピードにはいつも驚かされます。

 彼らのようにすぐに「やる気行動のスイッチ」を入れることができたら、何かとやらなければいけないことを溜めてアップアップしがちな人種も、きっとどんどんタスクが片づいていく気がします。

 ということで、今回は実はとても簡単にできる、「行動のスイッチ」の入れ方をお教えします。

とにかくやり始める

 まずは前回お伝えした、ある人間の特性の確認をしたいと思います。それは、「身体が先で、そのあとに脳は考えてついてくる」ということです。脳自体は、暗い頭蓋骨の中に閉じ込められているので、身体の動きを常に観察しています。身体が動いて、刺激が入ってくると反応して活動し始めるわけです。

 このような脳と身体の関係を見てみると、人間はやり始めることによってスイッチが入るようになっているのが、おわかりになると思います。そこから、「行動のスイッチ」を入れるベストな方法は、「とにかくやり始める」ことといえるのです。

 スイッチを入れたら、今度はその状態を持続させなければいけませんが、ありがたいことに、脳には一度その行動を始めるとのめり込んでしまうという性質があります。身近な例でいうと、勉強中になんの気なしに始めた掃除に没頭してしまったり、就寝前に始めたゲームがやめられなくなってしまったというようなよくある経験は、このような脳の性質によるものなのです。

 これは、脳にある側坐核という部分がいわゆる「行動のスイッチ」といわれており、一度作業をやり始めると、この側坐核が働き、簡単にはその作業をやめられなくなってしまいます。

 このことから、行動のスイッチをいれる有効な方法は、「とにかくやり始める!」に尽きます。たとえば、勉強をしなくてはいけないなら、まずは机に向かって問題を解く、暗記を始める。資料づくりをしなければならないなら、ファイルを開いて打ち込み作業を始める。メールを開いたなら、とにかくすぐに返信を書き始める。このように、とにかくすぐに「やり始め」て身体を動かすことで、それを受けて脳がついてきて、私たちの「行動のスイッチ」が入ります。そして気がつけば溜まっていた仕事がきれいさっぱり片付いてしまっていたりします。

 とはいえ、人間は生来怠け者。自分の気持ちだけではなかなか行動に移すことができない生き物です。したがって、何かしら自分を強制する環境や仕組みを用意しておくのが大事です。強制する方法は、他者に強制してもらうか自分で強制するかのどちらかしかありません。

 最近はスマホのおかげで、リマインダーなど他人の手を煩わさずとも自分を強制させられるようなアプリもいろいろとあります。そういう文明の利器を利用するのもひとつの手でしょう。

あとでやろうはバカヤロウ

 自分で自分を強制する場合のベストな方法は、その行為を「ルーティン化」することです。人間は、新しいことには抵抗を示したり、避けようとする本能的な反応があります。これは生物として、これまでと違う物事には警戒しようとします。これまでと違うこと、新しい物事は自分にとって危険なものである可能性があるからです。新しく何か始めるのが面倒臭いと感じるのは、生物科学的、脳科学的には当然のことなのです。

 逆に言えば、このような脳の性質を逆手に取って、新しい行動を自分にとって当たり前のことにしてしまえば面倒臭さはなくなります。つまり、日常化、規則化、ルーティン化してしまえば、自然と強制力が働いて来るということになります。

 以前に、小説家の村上春樹さんとお話をする機会を得た際に伺ったお話なのですが、村上さんは毎日必ず4、5時間机に向かう時間を決めているそうです。書くことが決まっているか否かにかかわらず、とにかく机に向かう。そうすることで、自分のスイッチが入るのだそうです。

 また、強制力が働く環境を整えておくのも大切です。アメリカの作家であるレイモンド・チャンドラーは、自分が文章を書くのに適したデスクを1つ定めることを勧めています。原稿用紙と資料を備えて、いつでも仕事ができる状態にしておくのです。

 このように習慣的な時間を決めたり、環境を整えたりすると、ペース配分がうまくできるようになり、自分が集中しやすい状況をつくることができるのです。皆さんも、普段から自分の作業スペースを整理整頓しておいたり、自分のルーティンを決めることで、集中しやすくなり、スムーズにタスクが片づきやすくなると思います!

 最後に、私の魔法の言葉を伝授いたします。「あとでやろうはバカヤロウ」です。なんとなくやりたくない、あとでやればいいやという気持ちが芽生えたとき、この言葉を口に出すようにしています。そうすると、今やらなきゃいけないという気持ちになってきます。皆さんも、こういう行動のスイッチを入れるマジックワードをひとつ用意しておくといいかもしれません。

 行動のスイッチの入れ方は、「とにかくやり始める」こと。まずは身体を動かして、自分の脳にやる気を出させましょう。
(文=堀田秀吾/明治大学法学部教授)

堀田秀吾/明治大学法学部教授

堀田秀吾/明治大学法学部教授

 専門は社会言語学、理論言語学、心理言語学、神経言語学、法言語学、コミュニケーション論。研究においては、特に法というコンテキストにおけるコミュニケーションに関して、言語学、心理学、法学、脳科学など様々な学術分野の知見を融合したアプローチで分析を展開している。執筆活動においては、専門書に加えて、研究活動において得られた知見を活かして、一般書・ビジネス書・語学書を多数刊行している。

Twitter:@syugo_h

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