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神戸山口組若頭釈放も、続く当局の弾圧「ヤクザに事務所は使わせない!」……18億円不正引き出し事件で一斉捜索も

文=沖田臥竜/作家
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神戸山口組若頭釈放も、続く当局の弾圧「ヤクザに事務所は使わせない!」……18億円不正引き出し事件で一斉捜索もの画像1神戸山口組本部の役割を果たしていたものの、
現在は実質閉鎖中の俠友会本部

 道路運送車両法違反などの容疑で、2月7日に兵庫県警に逮捕されていた神戸山口組の実質ナンバー2、寺岡修若頭(侠友会会長)が、留置されていた淡路警察署から不起訴処分で23日に釈放された。同じく逮捕されていた寺岡若頭の秘書を務める侠友会幹部も不起訴処分で釈放されており、残る侠友会組員が略式起訴され罰金処分となった。

 寺岡若頭が逮捕されている間に、神戸山口組による二代目兼一会の絶縁と、同団体の六代目山口組極心連合会への移籍があり、四代目山健組だけではなく神戸山口組全体になんらかの影響をもたらすのではないかと懸念されていただけに、そういう状況下での寺岡若頭の一戦復帰は大きな意味合いを持つといえるだろう。

「ただ、寺岡若頭は釈放後すぐに病院に行っており、神戸市二宮にある神戸山口組事務所には姿を見せていません。神戸山口組ではこれまで、幹部組長らが逮捕された場合、釈放される際には二宮の事務所で井上組長をはじめ幹部らに出迎えを受けていました。今回は、当局を刺激しないように、神戸山口組は相当気を使っているのではないでしょうか」(地元記者)

 これは、前回記事『山口組分裂後、屈指の大型移籍が実現!武闘派組織・兼一会が六代目山口組・極心連合会入り』で指摘したように、ヤクザ組織が水面下に潜み、マフィア化につながる流れが少しずつ加速しているといえるのではないか。

 だが、警察当局によるヤクザ組織の弾圧は、とどまるところを知らない。

 去年10月に、事務所使用禁止の仮処分を受けている神戸山口組正木組本部(福井県敦賀市)と、六代目山口組二代目中西組傘下六代目宮原組(福井県福井市)に21日、福井県警が家宅捜索を行ったのだ。

 容疑はそれぞれ異なるが、共に使用禁止の仮処分を受けている両事務所に、同日に家宅捜索をかけるのは、偶然にしてはあまりにも不自然すぎる。

「是が非がでも事務所を使用させないとする、当局の意気込みが伝わってきます。使用禁止処分は、建物を使用してはいけないとするものではなく、あくまで事務所としての使用を禁じるものなのです。その解釈に基づけば、組員が出入りしたり居住するのは自由のはずですが、何かと理由をつけて家宅捜索に入るということは、それさえも認めるつもりはないとする当局の姿勢の表れではないでしょうか」(ヤクザ事情に詳しい法律家)

 当局は、ゆくゆくはすべてのヤクザ事務所の使用を封じるつもりではないかと、業界関係者からは懸念する声が上がっており、一方でヤクザ側はその対応策を検討しているといわれている。

「六代目山口組では、先日のブロックごとの若頭会でも、その対応策が議題に上がったほどだ。総本部の使用禁止の仮処分も迫ってきていると噂されているし、一体どうなってしまうのか本当にわからない」(六代目山口組二次団体幹部)

さまざまなヤクザ組織の人間が関与した事件

 そして26日。今度は千葉県警、福岡県警、神奈川県警などが、2016年5月に18億円もの巨額な金銭を全国17都府県のコンビニエンスストアのATM(現金自動預け払い機)から不正に引き出した事件の関係先として、六代目山口組総本部と三代目弘道会本部、そして住吉会本部へ一斉に家宅捜索を行ったのである。特に、六代目山口組総本部には約130人の捜査員が派遣されての大掛かりな捜索となった。

 事件の主犯格とされる男(全国指名手配中)は、ロシア人ハッカー集団からコンビニのATMで使用された偽造カードを入手したとみられており、男がこの事件の指南役的存在だったと捜査関係者は考えているようだ。

「この男がかつて関東連合に所属していたということで、メディアでも大々的に報じられていますが、この事件におけるリーダー格の男が、各ヤクザ組織の組員らにビジネスとして今回の手口に情報を提供し、これほど大規模な事件につながったのではないかと捜査当局では考えているようです。そのため、特定の組織が強く関与しているというよりも、組織に属する複数の個人が事件に関係するかたちとなっているといったほうがよいのではないでしょうか。その個人らが所属する組織に今回、大規模な家宅捜索がかけられたと思われます」(ジャーナリスト)

 この事件には、末端まで含むと多くの関係者が関わっているとみられており、そのなかにはすでに服役中の六代目山口組系幹部もいる。主犯格の男は現在も逃亡中であることから、事件の全貌解明まで、まだしばらく時間がかかるのではないだろうか。

(文=沖田臥竜/作家)

●沖田臥竜(おきた・がりょう)
2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、『山口組分裂「六神抗」』365日の全内幕』(宝島社)などに寄稿。以降、テレビ、雑誌などで、山口組関連や反社会的勢力が関係したニュースなどのコメンテーターとして解説することも多い。著書に『生野が生んだスーパースター 文政』『2年目の再分裂 「任侠団体山口組」の野望』(共にサイゾー)など。最新小説『忘れな草』が発売中。

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