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石原藤樹「その医療の常識、本当ですか?」

花粉症の恐ろしい話…インフルエンザに罹りやすく、最悪の状態に?

文=石原藤樹/北品川藤クリニック院長
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 さらに怖いことには、人間に感染すると重症化する、鳥インフルエンザウイルスの感染に必要なタイプのシアル酸受容体が、鼻ポリープではより多くなっていました。花粉症の人は鳥インフルエンザにかかりやすく、重症化もしやすいという可能性があるのです。

 もうひとつ、2017年のアレルギーの専門誌に載った論文では、A型インフルエンザウイルスを使用して、アレルギー性鼻炎における免疫の変化を検証しています<参照文献(2)>。

 それによると、正常の粘膜と比較してアレルギー性鼻炎の粘膜では、A型インフルエンザウイルスの感染が起こりやすく、自然免疫に関わる3型インターフェロンという物質の産生が低下していました。つまり、花粉症などのアレルギー性鼻炎では、ウイルスなどを防御する力が低下していて、感染しやすいという可能性があるのです。

花粉症ではインフルエンザ以外のかぜにもかかりやすいのか?

 花粉症などのアレルギー性鼻炎では、A型インフルエンザの感染が起こりやすく、しかも重症化もしやすい可能性が指摘されています。

 それでは、インフルエンザウイルス以外のかぜウイルスについても、同じことがいえるのでしょうか?

 2017年の免疫学の専門誌に、それについての論文が掲載されています<参照文献(3)>。パラインフルエンザウイルスとライノウイルスという、通常のかぜの原因となる代表的な2種類のウイルスで検証したところ、パラインフルエンザウイルスの感染では、感染によるウイルスの増殖量も、体の免疫反応の強さも、いずれもアレルギー性鼻炎の粘膜では弱くなっていたのですが、ライノウイルスについてはそうした傾向は確認されませんでした。花粉症を含むアレルギー性鼻炎の粘膜では、インフルエンザ以外のかぜ原因ウイルスに対しても、免疫の反応には違いが認められるのですが、その反応の仕方はさまざまであるようです。

かぜの予防と花粉症

 このようにインフルエンザを含む複数のウイルスにおいて、その感染のしやすさと重症化のしやすさには、花粉症の場合とそうでない場合とで、明らかな違いがあることは事実と考えて良いようです。

 ただ、その反応の仕方には、同じかぜの原因ウイルスといっても、さまざまな違いがあり、重症化しやすいウイルスがある一方で、むしろ軽くするようなケースもあるようです。ただ、鳥インフルエンザは花粉症があると感染しやすいのでは、という気になる報告もあり、花粉症のある方は、そうでない人以上に、かぜの予防には注意する必要がありそうです。
(文=石原藤樹/北品川藤クリニック院長)

(参考文献)
(1)Suptawiwat O, Tantilipikom P, Boonarkart C, et al. Enhanced susceptibility of nasal polyp tissues to avian and human influenza viruses. PLoS One. 2010 Sep 24;5(9): e12973.
(2) Jeon YJ, Lim JH, An S, et al. Type Ⅲ interferons are critical host factors that determine susceptibility to influenza A viral infection in allergic nasal mucosa. Clin Exp Allergy. 2017 Dec 30.
(3)Gtobinska A, Pawetczyk M, Piwetczyk M, et al. Impaired virus replication and decreased innate immune responses to viral infections in nasal epithelial cells from patients with allergic rhinitis. Clin Exp Immunol. 2017 Jan;187(1): 100-112.

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