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トヨタはIT企業の下請けになるのか 運転免許も信号機も不要になる日

取材・文=小野貴史/経済ジャーナリスト
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 そうなった時に、社会における自動車メーカーの存在感は低下していくと思います。そうした考えがあって、拙著のタイトルが『自動車会社が消える日』となったわけです。

――すでに20代では、免許を持っていない人が少なくないという話も耳にします。

井上 日産取締役の志賀俊之さんはある講演会で個人的な見解とした上で、2050年になくなるものは4つあると話しています。1つ目はガソリンスタンド、2つ目は自宅の駐車場、3つ目は信号機、4つ目は運転免許証です。この発言の背景には、自動車業界に迫る大きな変化があります。その変化は「CASE」と呼と呼ばれるキーワードで象徴されます。Cはコネクテッド、Aはオートノマス(自動運転)、Sはシェアード、Eはエレクトリック。CASEの進行によって、この4つがなくなっていくのです。

 EV(電気自動車)が普及すれば、ただでさえ経営の厳しいガソリンスタンドがいらなくなるので、どんどん閉鎖が増えるでしょう。車を借りたいときに借りるようになれば、自宅の駐車場は不要になります。信号機がなくなる理由は、高度な自動運転になるとAIが判断して衝突を回避できるようになるからです。さらに完全自動運転になれば、人が運転しないので運転免許証もいらなくなります。こうなると産業構造も大きく変わってきます。

クルマのスマホ化

――一衰退する産業も出てくるのでしょう?

井上 自宅の駐車場が不要になると申し上げましたが、商業施設の駐車場も今のようなスペースが必要なのかという問題が出てきて、地域によって違いはあるでしょうが、不動産の再活用というテーマにつながっていきます。

――街中にあるコイン式の駐車場も同じ問題に直面するのではないでしょうか。

井上 今のような需要はなくなるでしょうね。運転免許証がいらなくなれば教習所の経営はどうなるのかという問題も発生します。それから車に搭載されたAIには交通規制も組み込まれているので、交通違反の取り締まりにも引っかからなくなります。

 そうなると、国庫に入る交通違反の反則金が減っていきます。反則金の年間総額は800億円程度といわれていて、そのお金は事実上、警察庁のひも付き予算に化けています。要は、反則金が信号機新設や交通安全対策に使用され、ひいては天下り組織に金が流れるという構図です。反則金収入が減れば「警察ビジネス」も新たな収益源を見つけないとやっていけなくなりますよ。

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