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平林亮子と徳光啓子の「女性公認会計士コンビが教える、今さら聞けない身近な税金の話」

投資でNISAを使うと、かえって損?

文=平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表、徳光啓子/公認会計士
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 デメリットの(4)は上限の枠は翌年に持ち越せないという点でした。2017年に100万円の投資をした場合、残り20万円を翌年に持ち越すことはできません。ちなみに上場株式等の場合は「株価」×「株式数(売買単位)」=「購入金額」となるため、株価や株式数によっては120万円上限までフルで使えない可能性もあり、NISA口座を活用するための戦略が必要になります。

 この点、投資信託は一般的にほとんどの金融機関で「A投信を○万円購入する」という金額を指定した取引ができるため、NISA口座の枠を上限額まできっちり利用することも可能です。

 デメリットの(5)はNISA口座の上限を超える購入はできないという点でした。株式を購入する場合、株価に購入株数を乗じることで購入額を計算できますが、会社ごとに購入できる株数の単位が決められています。たとえば、100株単位で購入すると決められている場合、1株だけ購入することはできず、100株を1口として購入しなくてはなりません。

 そのために、最低購入金額がNISA口座の上限額を超えてしまう銘柄もあります。たとえば株価が1万5000円で売買単位が100株の銘柄の場合、1万5000円×100株=150万円となりNISA口座で取引することができません。

非課税期間が終了したときは?

 株式や投資信託などを売却(又は解約)せずに5年の非課税期間が終了してしまった場合には、次の2つの対処方法が考えられます。

(1)ロールオーバー(新たに開始するNISA口座の投資枠に移す)
(2)通常の課税口座(特定口座・一般口座)へ移す

(1)ロールオーバー

 たとえば2017年に投資をして、非課税期間の期限(5年後)22年12月末までそのまま保有していると、2017年分の投資の非課税枠は消失しますが、2023年のNISA口座に株式等を移す「ロールオーバー」という方法を選択することができます。

 ただし、口座開設期限は2023年までのため、この方法は17年分までの口座しか利用できません。2018年分の非課税期間の期限は2023年12月までで、その時点で新たなNISA口座を開設することができないため、この方法は選択できないということになります。そのため、今後のNISA口座での投資については、NISA口座の非課税期間のうちに売却するのか、非課税期間が過ぎても保有し続けるのか、保有方法や売却タイミング等を考えておいたほうがいいでしょう。

(2)通常の課税口座(特定口座・一般口座)へ移す

 NISA口座から課税口座へ保有している株式等を移す方法です。5年経過後に特定口座等に移す場合、時価で移されるため、当初投資した120万円が5年経過後に130万円と値上がりしていた場合、課税口座に移す際の取得価額は130万円となります。移した後に140万円まで値上がりして売却をした場合、利益は140万円-130万円=10万円となりますので、税金は10万円×20%=2万円となります。逆に5年経過後に当初120万円の投資が100万円まで値下がりしていた場合、課税口座に移す際の取得価額は100万円となります。

 その後140万円まで値上がりして売却をした場合、利益は140万円-100万円=40万円が利益となりますので、税金は40万円×20%=8万円となります。このように、NISA口座を利用してから課税口座へ移す場合に、移管時の取得価額によってはNISA口座を使ったことによって払う税金が増えるという可能性もあります。

亮子「NISAについては、制度がどんどん変わっているから、もしかすると口座開設可能期間が延長されることもあるかもしれないね。非課税枠がもっと大きくなるとか」

啓子「本当にどんどん変わります。2018年1月からは『つみたてNISA』という、最長で20年間、年間40万円まで投資できて、投資運用利益が非課税となる新しい制度が創設されました」

亮子「時代の流れについていくのは大変なこともあるけれど……」

啓子「ただ、今後も個人が賢く投資や節税を行って自身の資産を殖やしていくという流れが続いていくと思いますので、制度をうまく活用し恩恵を受けよう、という前向きな姿勢でいたいですね」

(文=平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表、徳光啓子/公認会計士)

●徳光啓子
2009年 公認会計士試験合格
2011年 明治大学商学部卒業
2011年から2016年、有限責任あずさ監査法人に勤務し、主に上場の製造会社を中心に監査業務に携わる。
2016年から税理士法人タックス・アイズにて企業の各種税務申告業務や会計・税務コンサルティングを行う。また、茨城大学にて非常勤講師として原価計算論等の講義を行っている。

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