ローソン、「待ちカフェ」と揶揄されても、やめない理由…「意外な効果」創出?

ローソンの店舗(撮影=編集部)

 2月19日付日本経済新聞にコンビニエンスストアチェーンのローソンに関する小さな記事が載っていました。そもそも、ローソンはほかのコンビニとは異なり、コーヒーをセルフではなく、店員がいれて渡してくれます(最近ではローソンでもセルフの店もあるようですが)。

 記事はローソンが新たな機械を導入し、コーヒーの提供時間を40秒から25秒へと約4割削減するという内容でした。

なぜローソンはセルフではないのか

『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』(大﨑孝徳/日本実業出版社)

 調べてみると、まずコンセプトが「街にカフェをつくる」ということで、「コンビニでコーヒーを販売する」というスタンスの他社とは大きく異なるようです。カフェであるため、店員がいれるのは当たり前。つまり、セルフより良いサービスの提供を目指しているわけです。さらに、手渡しにより店員と客の間で交流が生まれる。もっとも、ココアやアイスティーなども用意され、バリエーションが豊富なため、セルフにしにくいといった理由もあるようですが。

 このように、店員によるコーヒーの提供は良いことばかりのような気もしますが、みなさんはコンビニのコーヒーはセルフとフルサービスのどちらが好みでしょうか。

 筆者は100円のコーヒーをわざわざいれてもらうのは何か申し訳なく、自分でいれるセルフのほうが気楽でいいのですが、こうした意見はネットなどを見ると少数派ではないようです。

 ローソンのこうしたコーヒーサービスは、街のカフェという意味で「MACHI cafe」という名前になっていますが、提供時間が長い、それによってほかの買い物客にも迷惑になるということで、「待ちカフェ」と揶揄されることもあるようです。よって今回、新しい機械を導入し、提供時間を短縮することとなったのでしょう。

 しかし、顧客サービスの向上を狙い、人件費などのコストを余計にかけた結果、文句を言われるというのは、なんとも皮肉な話です。

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授。1968年、大阪市生まれ。民間企業等勤務後、長崎総合科学大学・助教授、名城大学・教授、神奈川大学・教授、ワシントン大学・客員研究員、デラサール大学・特任教授などを経て現職。九州大学大学院経済学府博士後期課程修了、博士(経済学)。著書に、『プレミアムの法則』『「高く売る」戦略』(以上、同文舘出版)、『ITマーケティング戦略』『日本の携帯電話端末と国際市場』(以上、創成社)、『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』『すごい差別化戦略』(以上、日本実業出版社)などがある。

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