NEW

朝日新聞や見城徹氏も…有力者による名誉毀損裁判が相次ぐ理由 スラップ訴訟めぐる議論呼ぶ

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 この裁判の発端は、2014年、渡辺喜美衆議院議員(当時)がDHCの吉田会長から8億円を借りていながら、その一部を返済しなかったために、吉田会長が「週刊新潮」(新潮社)に手記を掲載させ、両者の険悪な関係がメディアで公になった事件である。この件について当時、メディアや個人のブログなどで、さまざまな論評が行われ、その大半は吉田会長に批判的なものだった。これに対して吉田会長は、ほぼ同時に10件の名誉毀損裁判を提起した。澤藤弁護士も、ブログでの記述を理由に訴えられた1人だった。

 しかし、澤藤弁護士のケースにはある特徴があった。初めは請求額が2000万円だったものが、その後、6000万円まで増額されたことである。原因は、提訴後も澤藤弁護士が自分のブログで吉田批判を展開したことである。判決(東京地裁)は、15年9月2日に下され、吉田氏側の敗訴だった。高裁でも、最高裁でも吉田氏の訴えは棄却された。

 澤藤弁護士は勝訴判決の確定を受けて、吉田氏の起こした裁判はスラップに該当するとして、600万円の損害賠償請求を内容証明郵便の送付という形式で行った。吉田氏は請求を拒否。そして17年9月、澤藤弁護士に対して自分には600万円の賠償責任がないことの確認を求める裁判を起こしたのである。法律用語でいえば、「債務不存在確認」請求事件である。そこで澤藤弁護士は、「反訴」というかたちで吉田氏の側に660万円の支払いを求める裁判を起こしたのだ。スラップを認定させるための裁判である。

 日本には米国とは異なりスラップ禁止法がない。あくまでも訴権を優先する傾向がある。しかも、日本の名誉毀損裁判では真実性の立証責任は被告が負う。これは米国の逆である。こうした事情があるため、今後、名誉毀損裁判の提起に歯止めがかからなくなれば、自由闊達な言論活動が妨げられる懸念もある。早急に対策を考えなければならない問題である。
(文=黒薮哲哉/「メディア黒書」主宰者)

朝日新聞や見城徹氏も…有力者による名誉毀損裁判が相次ぐ理由 スラップ訴訟めぐる議論呼ぶのページです。ビジネスジャーナルは、ジャーナリズム、名誉毀損朝日新聞見城徹社長の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!

Ranking
  • ジャーナリズム
  • ビジネス
  • 総合
BJ おすすめ記事