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相原孝夫「仕事と会社の鉄則」

急増する「子ども社員」が職場を壊す…公然と膨れっ面、ひたすら「待ち」状態

文=相原孝夫/HRアドバンテージ社長、人事・組織コンサルタント
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 職場において「寛容性」が失われていることが、「子ども社員」化を促す原因の一つだが、会社自体も寛容性を失い、「子ども化」しているともいえる。長期的な展望がなく、収益上苦しい状況になると簡単にリストラの判断をしがちであるなど、会社自体が自己保身に走るような状況も見られる。そのようななかで、社員は余裕をなくし、自分のことしか考えなくなったり、自己保身のために他者に対して攻撃的なスタンスを取りがちになるなど、会社の「子ども化」と相まって、「子ども社員」化が進んでいるという状況がある。

対話しかない

 では、どうすれば「子ども社員」化を回避できるのであろうか。自分にだけベクトルが向かないように、他者へ関心を寄せることが鍵となる。他者に意識を向け、関心を持つためには、対話があることが前提となる。対話さえあれば、自ずと他者へ関心は向かう。

 職場でのことではないが、最近、対話の重要性を実感した例が身近にあったので、紹介してみたい。

 私は、週末にスポーツジムに通っているが、そこでのことである。トレーニングが終わり、ロッカールームで着替えていると、20代前半とおぼしき若者が入ってきて、ベンチに荷物を2つ、ドカン、ドカンと大きな音を立てて置いたのだ。「何もそんなに雑に投げるように置かなくても、他人への配慮というものがかけらもないなあ」と瞬時思ったが、そう思って不機嫌になるのも大人げないと思い、対話を試みてみることにした。

「今日も混んでますね」と当たり障りのないことを言ってみた。すると、話しかけられるとは予想していなかったのか、一瞬ポカンと間が空いて後に、「あ、はい、そうですね」と返してきた。ごく普通のまっとうな若者である。着替え終わり、帰り際に「じゃあ、お先に」と言うと今度は、「おつかれさまでしたー」と返してくれた。実に感じのいい若者である。

 彼が先ほど入ってきたときと何が違うのかといえば、対話があったかなかったかだけである。両者の間にほんの些細な、あいさつ程度の対話があっただけで、こうも違うのである。対話がなければ、それだけであたかも敵のようなイメージを抱きがちだが、ちょっとした対話があっただけで、とたんに仲間という意識になるのだ。

 職場の中でもこのようなことは多いはずだ。「子ども社員」化の背景には、職場での対話が減ったということが直接的な要因としてある。毎日のように顔を合わせて一緒に仕事をしている仲間と普通に対話するというごく普通のことが、普通になされなくなってきたところに問題がある。いったん少なくなった職場での対話を再び活発にするということは、意外とハードルが高いことかもしれない。しかし、それ以外に「子ども社員」化を防ぐ道はない。
(文=相原孝夫/HRアドバンテージ社長、人事・組織コンサルタント)

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