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今年3~4月の引っ越しはここまで絶望的!大手5社から見積もり拒否?20キロ先でも70万円?

文=山田稔/ジャーナリスト
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今年3~4月の引っ越しはここまで絶望的!大手5社から見積もり拒否?20キロ先でも70万円?の画像2引っ越し業者を決めるまでが大変

 昨年3月に都内で引っ越しを行った50代の会社員が当時を振り返る。

「隣の市に引っ越すことになり、2月に大手・中堅3社の営業マンに自宅に来てもらい、見積もりを取りました。こちらとしては3月下旬が第一希望だったのですが、中旬以降はほとんど埋まっている状況でした。やむなく上旬に繰り上げたのですが、それも夕方からのトラックを確保するのが精一杯でした」

 日取りを決めるのには苦労したが「見積もりのやり取りが面白かった」という。

「最初に来た業者は室内を見た後、口頭による説明だけで料金提示もほぼ料金表通りで、大した値引きはありませんでした。2社目は1社目よりやや低い数字を出してきて、最後に“今決めていただけたらこの料金で結構です”と大幅に下げてきました。3社目の大手営業マンはカタログや営業チラシを持参し、料金だけでなくスタッフの研修内容やサービス内容まで事細かに説明してくれました。この営業マンのプロ意識と引っ越し技術の高さで3社目に決めました。料金は2トンロングのトラック2台、作業員が全部で4人ついて、最初に提示した19万円が12万円で収まりました。段ボール箱やハンガーケース、シューズボックスも無料で、段ボール箱は追加分も無料。なにより、当日のスタッフの敏捷な動き、丁寧な作業には驚きました。いい体験でした」

 3社との見積もりでは、こんなやり取りもあったという。

「ちなみに3月下旬の料金を聞いてみたんです。すると、“相場はないも同然ですね。通常の時期の3倍から4倍はいくかも”といった答えが返ってきました。3月上旬にして正解でした」

 運よく引っ越し難民を免れても、高料金は覚悟しなければならないということか。

ドライバー確保だけで解決する問題か

 昨年の今ごろは、アマゾンをはじめとするネット通販の拡大による宅配便個数急増に伴うドライバーの過重労働や人員不足が問題化していた。

 今年は舞台が引っ越し業界に移ったかたちだが、問題の本質は一緒だろう。労働環境の改善によるドライバーの定着化や高齢化解消が急務であることは言うまでもない。対策は始まっている。

 昨年3月に「道路交通法の一部を改正する法律」 が施行され「準中型免許」が新設された。準中型免許は、若者がトラックドライバーになりやすいように新設された免許で、普通免許の保有を前提とせず18 歳で取得することができる。高校新卒者をはじめとする若年ドライバーの積極確保に向けた取り組みだ。

 しかし、それだけでは問題の解決には程遠い。国土交通省のデータ(いずれも2016年)によると、平均年齢47.5歳のトラックドライバーの労働時間は月217時間、年間所得は447万円となっている。女性比率はわずか2.4%。全産業平均は平均年齢42.2歳、労働時間177時間、年間所得490万円、女性比率43.5%。こうしてみるとトラック業界は、中高年層の男性に依存した状態で、長時間労働のうえ、所得は低いといえる。この業界全体の構造を改革しなければ、根本解決にはつながらないだろう。

 最近は人工知能(AI)を活用して人員の最適配置を図るなど、新たな取り組みも始まっているという。業界の構造改革とテクノロジーの活用、鉄道輸送の併用などに加え、同時期に大量の移動が行われるような社会システムも変革が必要だろう。東京一極集中の是正、人事異動時期の分散化、大学秋入学制度の導入など手を付けられるテーマはいくらでもあるはずだ。
(文=山田稔/ジャーナリスト)

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