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米国、在韓米軍削減や北朝鮮の核保有認知の可能性も…4月の日米首脳会談、極めて重要

構成=長井雄一朗/ライター、協力=森本敏/防衛大臣政策参与
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 では、アメリカ全土への核弾道ミサイル攻撃技術がいつ完成するのかといえば、先日アメリカの国務長官に就任したCIA長官のポンペオ氏は、数カ月の間、もしくは今年のいつか完成するとの見立てです。そこで、核弾道ミサイル発射実験が何回か実施されるという蓋然性は、依然として残っていると考えざるを得ません。

――経済制裁の効果は?

森本 「並進政策」のうちの経済発展は思った以上に進んでいません。昨年、対前年比で亡命者が3倍ほど増えています。もう一つ、漁船が昨年100隻以上、今年はすでに40隻、そのうち遺体が85体以上、生存者45人近くが日本の排他的経済水域を越えて難破、到来しています。各船に与えられた漁獲高を超えないと漁民の利益にならない。危険を押して日本に来るというのは、それだけ生活が困窮しているということです。

 一方、石油価格が3倍に、公共料金も上がっています。そこで北朝鮮は苦肉の策で、石油を獲得するために、船と船を横付けし、洋上で石油を積み替える「瀬取り」を行っているのですが、これは国連安保理決議で禁止されています。それだけ石油不足に困っているという証拠です。石油がないと核弾道ミサイル開発や工業製品の製造もできない。経済制裁の効果は大きく現れています。核弾道ミサイル開発の影響だけではなく、人民の生活にも影響が出ているのでしょう。

 そこで挑発活動をやめて韓国などと対話の道を選んだと想定できます。対話の間、核弾道ミサイルの開発は、モラトリアムをしき時間稼ぎを行いつつも、実験の準備をするという道を選択したのでしょう。

米朝首脳会談、3つのシナリオ

――米韓合同軍事演習が4月1日に開始されますが、ここで北朝鮮はどう出るでしょうか。

森本 北朝鮮に派遣した韓国特使の説明によると、合同軍事演習には「理解を示す」との金委員長の言葉がありますが、本心は「賛成はしていない」でしょう。そこでなんらかの挑発活動を行う可能性はあります。しかし、北朝鮮の意向を見る限り、合同軍事演習を行ったとしても、南北首脳会談開催の蓋然性はあると考えます。

 それでは、北朝鮮が何を要求するか。支援として当面の食糧援助などのほかに、(1)開城(ケソン)工業団地の再開、(2)金剛山(クムガンサン)プロジェクトの実施などが考えられます。しかし、人道援助以外は国連安保理決議違反です。そもそも韓国は平昌五輪の時に、北朝鮮に対して数億円支出していますが、これも違反しているのです。南北会談を通じてどういう援助が行われるか注目しています。

――米朝首脳会談は実現するのでしょうか。

森本 会談の場所、議題は何か、どのようなチャンネルで、誰が随員になるのか、まだ何も決まっておりません。今後のシナリオは3つあります。

1.事前に話し合いをしたが、議題さえ合わず、双方の目的が合致しなかったため、首脳会談に至らない。
2.首脳会談は成立したが双方の立場が合致せず、引き続き、事務レベルで協議することとなり、長期化する。
3.北朝鮮が非核化を認め、廃棄措置のプロセスについて実務的に話し合いを続ける。

 まずアメリカ側の要求は、早期に検証可能な不可逆的な完全非核化です。一方、北朝鮮は、(1)アメリカによる北朝鮮の敵視政策の中止、(2)核保有国の認知、(3)在韓米軍の撤兵や今後の米韓合同演習中止・削減、(4)体制の保障、(5)休戦協定を平和協定に改定、(6)経済制裁の中止や経済援助の要請、(7)B-1、B-2のグアムからの撤去などを要求する可能性があります。

 シナリオ1で事前折衝がまったく折り合わなかった際は、北朝鮮としてはメリットがないとみて首脳会談を受け入れない可能性が十分あります。望ましいのはシナリオ3です。シナリオ1であれば北朝鮮は挑発活動を再開するでしょう。そうなると今度はアメリカが実力行使に出る。カギは南北首脳会談ではなく、米朝首脳会談にあるのです。ただ、マクマスター大統領補佐官が強硬派のボルトン元国連大使に代わることもあり、今後の政策にどのような影響があるのかも注目されます。

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