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神戸山口組・山健組傘下の実力派若頭が釈放、任侠山口組では武闘派若頭に無罪判決…その裏で出回った怪文書を分析

文=沖田臥竜/作家
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 その理由とは、四代目山健組傘下だった二代目兼一会が、六代目山口組・極心連合会へ移籍したことが原因だったといわれている【参考記事:山口組分裂後、屈指の大型移籍が実現】。

「兼一会をめぐる、絶縁処分から極心連合会への移籍という一連の問題で、いち早く反応するのではないかと警察当局が警戒していたのが、中田会長率いる健竜会です。兼一会の植野雄仁会長が四代目山健組から処分される前には、植野会長と中田会長が激しく言い争ったともいわれており、それだけに両組織が緊迫した関係にあったのは確かです。なかでも、武闘派として知られる西川若頭の動向を大阪府警では特に警戒していたようです」(ジャーナリスト)

 そうした状況下での西川若頭の身柄拘束だっただけに、当局が機先を制したのではないかといわれていたのだが、勾留期限を迎えて、西川若頭は再び一線へと復帰したのである。これにより、いやが応でも健竜会の士気が上がるのは間違いないだろう。

「山健組には、西川若頭だけではなく、次の定例会では神戸山口組の直系になるのではないかと噂されている中田会長をはじめ、まだまだ一騎当千の猛者ともいえる幹部らが揃っている。確かに兼一会の六代目(山口組)へ移籍のインパクトは大きかったが、彼らがいる限り、山健組そして神戸山口組は揺れ動かないのではないか」(神戸山口組関係者)

 一方、西川若頭が釈放された同じ日に、任侠山口組のある傘下団体が改名したという通知文が、SNSを通じて業界関係者に出回った。

「この傘下団体は、元は誠義会という組織だったが、過去に山健組で執行部を務めた経験のある元幹部の承認を得て、二代目光竜会と改名した。光竜会は先代が引退すると同時に解散した組織だが、この度、復活したわけだ。二代目会長に就任したのは、光竜会で若頭を務めた経験のある、任侠山口組直参の夏木政雄会長だ」

 著者がまだ現役だった頃、初代光竜会の重鎮の放免祝いに伺ったことがあったが、開催場所である同会の本部事務所の立派なつくりに驚かされたことを今でも鮮明に覚えている。

 その頃の光竜会はまさに飛ぶ鳥を落とす勢いで、光竜会の重鎮のなかには、六代目山口組の直参組長に名を連ねる幹部がいたほどだ。そうした光竜会の伝統は今後、かつてとは上部団体を異なる、任侠山口組の中で受け継がれていくことになったのである。

六代目山口組の姿勢がわかる怪文書

 もうひとつ、3月半ばに起こったトピックを紹介しておきたい。

 六代目山口組サイドから流されたという体の「伝達事項」と題された文書が、業界関係者の間で出回った【記事冒頭の掲載写真】。

 そこには伝達事項として、神戸山口組と任侠山口組のことも今後、「山口組」として呼んではならないと記されており、それぞれ「神戸絶縁組」や「任侠謀反組」などといった見下した呼称を用いるように促していたのだ。

 もちろんそれが、正式に六代目山口組総本部から傘下団体に回されたものではなく、いわゆる出所不明の怪文書のたぐいであるのは、文書内に散見される誤字を見ただけでもわかる。

 だが六代目山口組のある関係者は、怪文書とはいっても、まったくの部外者がつくったものではないだろうし、そこからは六代目山口組サイドの本音が見え隠れすると漏らす。例えば、その後に続く、他団体から六代目山口組への移籍報告という項目を含めて、こう分析する。

「移籍報告の内容は事実で、それなどを見てもわかるが、六代目山口組全体の雰囲気は確かに『山口組はひとつしかない』という意識が強い。上層部になればなるほどその傾向が高くなるが、それはそうだろう。若い頃に身体を賭け、組織に貢献し、名誉あるプラチナ(直参)の代紋を親分衆は手に入れられたのだ。毎月のようにプラチナが誕生している任侠(山口組)と比べられても、組織としての格が違い、山口組と称されるのは心外と思うのは当然ではないか。伝え聞く話では、そうやって相手にすることすら、本家のカシラ(髙山清司若頭)は納得されていないと聞いている。つまり同じ土俵に乗せるなと言いたいのではないか」

 ただ、すでに、六代目山口組分裂後、神戸山口組は指定暴力団となり、任侠山口組も今月22日に指定暴力団となって、暴力団対策法の適用を受けることになっている。つまり、当事者がどう思おうが、警察当局の解釈では、山口組と称する団体は3つ存在することになっているのだ。

 果たして今後、この分裂劇はどういった展開を見せていくのか。そして、任侠山口組も指定暴力団とした今、警察当局はどこまで取り締まりを強化させ続けていくのか。警察当局の締め付けの度合い次第で、それぞれの山口組の今後の組織運営が決まっていく側面も出てくるのではないだろうか。

(文=沖田臥竜/作家)

●沖田臥竜(おきた・がりょう)
2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、『山口組分裂「六神抗」』365日の全内幕』(宝島社)などに寄稿。以降、テレビ、雑誌などで、山口組関連や反社会的勢力が関係したニュースなどのコメンテーターとして解説することも多い。著書に『生野が生んだスーパースター 文政』『2年目の再分裂 「任侠団体山口組」の野望』(共にサイゾー)など。最新小説『忘れな草』が発売中。

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