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任侠山口組が大幅な組織改革を断行し、「若頭」を新設…その裏で流れた「3つの山口組が六代目に統合」の噂

文=沖田臥竜/作家
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任侠山口組が大幅な組織改革を断行し、「若頭」を新設…その裏で流れた「3つの山口組が六代目に統合」の噂の画像1任侠山口組若頭となった四代目真鍋組・池田幸治組長(左側)

 3つに分かれた山口組が、六代目山口組として統合へ……憶測を含め、そうした噂が一部の業界関係者の間に広まったのは、任侠山口組が兵庫県公安委員会により、指定暴力団に指定されたことが官報に公示された22日のことだった。2015年から続く、六代目山口組の分裂騒動に終止符を打つために、一部の勢力が秘密裡に会談を重ねているというのだ。

 以前から六代目山口組サイドは、神戸山口組も任侠山口組も「(警察当局からの締め付けが強化されるなか、ヤクザとして生き残るために)今後の保険をかけ始めている」としきりに口をしていると言われていた。その「保険」とは、六代目山口組への一本化を図ることではないのかとの憶測があった。

 そうした状況のなかで、指定暴力団となったその日に任侠山口組サイドから業界関係者らに聞こえてきたのは、「明日、重大な発表がある」とするもので、それがもしかすると統合へと向けたなんらかの布石ではないかとして注目された。

 だが、迎えた翌23日に発表されたのは、そうした統合説を払拭するような、新たな組織改革が任侠山口組で断行されたことだった。

 任侠山口組は結成当初から従来のヤクザ組織とは違う親子盃による縦のつながりではなく、同志としての横のつながりを強調させ、トップである組長と組織の要となる若頭を設けずに組織運営を行ってきていた。それは、指定暴力団にされることを逃れるために、これまでのヤクザ組織とは異なる点を強調するために考えられた組織体という側面もあったのかもしれない。

 しかしながら、それでも任侠山口組は指定暴力団となった。それを受けて、今回の「大型人事の断行」が行われた可能性がある。

 新設された若頭には、これまで本部長を務めていた四代目真鍋組・池田幸治組長(詐欺罪で勾留中)が座り、本部長には、それまで本部長補佐を務めていた山崎博司組長が組織名を二代目古川組に改称して就任。これまで本部長補佐を務めていた幹部らが若頭補佐となり、新たに5人の幹部が本部長補佐に選出されたのだ。

 これによって任侠山口組の執行部は、「若頭」「本部長」「若頭補佐」「本部長補佐」からなるということになった。

 任侠山口組の関係者はこのように語る。

「注目するのは、人事や組織名称の変更だけではない。月会費も大幅に削減され、執行部以外は一律5万円となっている。執行部はこれまで通りの10万円だが、任侠山口組の場合、トップとなる織田代表も月会費を払っているといわれている」

 今回の任侠山口組の若頭の新設を中心とした組織改編は、執行部の統率を強化される狙いがあるとみられており、関係者らの話によれば、増員された執行部からは再び織田代表に、現在空位となっている「任侠山口組組長」就任へ強い要望があったといわれているが、結成当初同様に織田代表はそれを固辞したとみられている。

山口組の本流であることを意識した組織改称

 そのほかにも注目された組織改称があった。

 これまで任侠山口組では、神戸山口組、なかでもその中核団体である四代目山健組に対抗するかのように、山健連合会や山健同志会など、「山健」を冠した組織を発足させたり、「山健組」を意識した組織改称をしたりしてきた。そして今回も、分裂騒動前、六代目山口組傘下の二代目健心会で若頭を務めた経験もある坂本正次本部長補佐(新任)が、組織名称を杉秀会から、三代目健心会へと変更させているのだ。これについて任侠山口組関係者はこのように話している。

「今回、坂本会長が、杉秀会から三代目健心会に組織名称を改名されたが、現存する六代目山口組内の二代目健心会の後を継承したものではない。確かに六代目山口組内の健心会の初代は設立者の故・杉秀夫会長だが、先代となる二代目健心会会長とは流れが違う」

 また任侠山口組では今後、月会費の値下げだけではなく、組員の負担を考慮し、毎月開催されていた定例会を2カ月に一度の開催にしていくのではないかとみられているようだ。

 確かに統合に向けた話し合いが、水面下で進められているという噂が流れていた。なかには「会談は最終段階まで来ており、統合後の処遇をめぐる確約が取れれば、六代目山口組へと再び戻る勢力が出てくる」と話す関係者もいたほどだ。

 しかし23日に発表された人事や組織改称を見れば見るほど、統合の話も憶測や一部勢力の希望的観測の域を出ないものだったのではないだろうかと思えてならない。

 ただ、水面下で動いていることは、表面化するまで部外者にはわからないケースが多いのは事実で、今後、統合につながるような、なんらかの動きが一気に浮上することもありうる。

 3年前の夏、山口組の分裂など絶対に考えられないという中で、突如、六代目山口組は分裂し、神戸山口組が誕生したのだ。それを思えば、今後も大きな出来事が突然起こる可能性は誰にも否定できない。

(文=沖田臥竜/作家)

●沖田臥竜(おきた・がりょう)
2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、『山口組分裂「六神抗」』365日の全内幕』(宝島社)などに寄稿。以降、テレビ、雑誌などで、山口組関連や反社会的勢力が関係したニュースなどのコメンテーターとして解説することも多い。著書に『生野が生んだスーパースター 文政』『2年目の再分裂 「任侠団体山口組」の野望』(共にサイゾー)など。最新小説『忘れな草』が発売中。

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