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高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏

ひどい肩こりが治った!スロー空手ストレッチ、外資系企業社員が続々道場に入門

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外資系社員も信奉した「空手ストレッチ


高橋氏の著書『スロー空手ストレッチ』
 大正大学では、当時階級別で日本一だった1学年上の先輩・笹有紀子氏と向き合い、めきめき実力を上げて行った。それでも、どこかバレーボールへの未練を残していたという。

「大学2年の時に、代替出場した富山国体で準優勝したのです。その時初めて『バレーボールから空手に移ってよかったのかな』と思うようになりました」(同)

 その後の活躍は前述のとおりだ。日本空手協会総本部指導員などを経て30歳で「空優会」を設立。2年後に道場を開設した。資金の不足分は教員だった母親に借りたという。

 実は、ひとくちに「空手」と言っても、大きく分けて「伝統派空手」(相手に当たる寸前で攻撃を止める寸止めを重視)と、突きや蹴りを相手に当てる「フルコンタクト空手」がある。伝統派空手には4大流派(和道流・剛柔流・糸東流・松濤館流)があり、形(かた)も異なる。高橋氏は最大流派の松濤館流だ(段位は4段)。

「25の形がある松濤館流は、『一撃必殺』をめざしており、ダイナミックで直線的な身体の使い方が特徴です。最短距離を最速で動き、最大の力を出すよう考えられています」(同)

 技術の応用から「スロー空手ストレッチ」を考案したのは、企業研修がきっかけだった。

「外資系企業に勤める弟子の40代男性から依頼を受けて、その企業に出張研修に行ったのです。『空手を習ううちに、ひどかった肩こりが治った』と聞いていたので、独自に考案したストレッチを教えたら予想以上の効果が出ました」

 人間には400から600の筋肉があるといわれ、そのすべてを効率的に駆使し、一点集中で大きな力を出すために練られたのが「空手の技」だといい、それを応用した。普段は辛口の外資系企業の社員のうち、体験者の半数が高橋氏の道場に入門したそうだ。

「ラジオ体操」のように普及させたい

遊び気分で参加した外国人受講生に激怒する高橋氏

 こう紹介すると、「伝統武道」からの脱皮をめざしているように思えるが、活動の軸はぶれない。欧州など空手が盛んな外国での指導経験も多い高橋氏は、こう話す。

「スロー空手ストレッチは、空手にはこんなに素晴らしい技術があるのにもったいないと思って考案したもので、最終的に伝えたいのは『技術』とともに『平常心』です。『空手に先手なし』という言葉がありますが、絶対に自分から攻撃することはありません。本来、空手は自分を守る技で、“受け”ができれば相手も加害者にならずに済むのです」

「残心」という言葉に象徴されるように、行動そのものに心が宿る。道場に来て、脱いだ靴の乱れ、着替えるために脱いだ服が乱雑なのもそうだ。普段は明るい高橋氏も、意識が低く遊び気分で参加した受講生には本気で怒る。

「インバウンド(訪日外国人客)の方たちの体験コーナーを実施した時のこと。事前に1時間半のメニューを考えて待っていたら、40分遅刻してきたのです。内容も大幅に縮小せざるを得ませんし、遅刻理由が『前夜、六本木で遊んでいた』というもので、この時は激怒しました」(同)

 メディア出演も多いこの女性指導者は、それほど「空手道」を大切にしているのだ。

「身体が強くなると心も強くなり、心が強くなると余裕ができて、相手に対しても優しくなれるのです。時間に追われ、他人への余裕のない時代だからこそ、そう思います」

「大きなことを言えば……」と前置きしつつ、「ラジオ体操のように普及させたい」と話す高橋氏。旧態依然とした一面を持つ伝統社会に風穴を開けるのは、自らも挫折を経験し“心身の痛みを知る”、こんな人かもしれない。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)

高井 尚之(たかい・なおゆき/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)
1962年生まれ。(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。これ以外に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(同)、『「解」は己の中にあり』(講談社)など、著書多数。

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