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宇多川久美子「薬剤師が教える薬のリスク」

コレステロール摂取は健康に影響せず、米国が発表…値が低いほど、がん死亡リスク増大か

文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

 コレステロールと死亡者数の関係については、数々の論文が発表されていますが、日本でも「J-LIT」(日本脂質介入試験)という臨床試験があります。これは、総コレステロール値と死亡者数、心筋梗塞死亡者数、がん死亡者数の関係について試験、調査したもので「コレステロール低下剤服用中の全国5万2421人を6年間にわたり追跡調査した」という大規模な臨床試験です。

 この調査では、次のような結果が報告されています。

(1)コレステロール値が高くても低くても、死亡のリスク(危険性)は大きくなるが、低いほうがそのリスクは、より大きくなる。
(2)死亡のリスクが小さいのは、総コレステロール値200~280mg/dlであり、この範囲であればリスクは変わらない。
(3)コレステロール値が低いほど、がん死亡者数が多い(総コレステロール180mg/dl未満のがん死亡者は、同280mg/dl以上の人の約5倍)。

 上記と同じようなデータは、国内でも「八尾研究」などいくつも発表されています。血液中のコレステロールは、その比重によって大別すると「LDLコレステロール」と「HDLコレステロール」に分けられ、それぞれ大切な役割を持っています。

 LDLは血管を通じて体の各組織に必要なコレステロールを運ぶのに対して、HDLは余分なコレステロールを肝臓に回収する働きをしています。HDLは血管中などの余分なコレステロールを回収する役割があることから「善玉コレステロール」と呼ばれ、反対にLDLは組織に運んでしまうから「悪玉コレステロール」と呼ばれています。

 しかし、前述したとおり、コレステロールは人間の体にとってなくてはならない栄養素のひとつであり、LDL、HDLともに重要な役割を持っているのです。「善玉」「悪玉」という呼び方自体を見直す必要があるのではないでしょうか。
(文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士)

●宇多川久美子 薬剤師として20年間医療の現場に身を置く中で、薬漬けの治療法に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」を目指す。現在は、自らの経験と栄養学・運動生理学などの豊富な知識を生かし、感じて食べる「感食」、楽しく歩く「ハッピーウォーク」を中心に、薬に頼らない健康法を多くの人々に伝えている。『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂出版)、『薬が病気をつくる』(あさ出版)、『日本人はなぜ、「薬」を飲み過ぎるのか?』(ベストセラーズ)、『薬剤師は抗がん剤を使わない』(廣済堂出版)など著書多数。最新刊は3月23日出版の『それでも「コレステロール薬」を飲みますか?』(河出書房新社)。

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