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ドンキ、「100円均一」市場に殴り込み…インスタ映えするデザインで割安感ある商品群

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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女性人気が高いセリアとキャンドゥ

 100円ショップ「セリア」を現在全国に約1500店を展開しているセリアも好調だ。17年3月期の売上高は、前年比11.0%増の1453億円。売上高と利益はともに過去最高を更新している。

 100円ショップというと、「薄利多売」のイメージがあるかもしれないが、セリアはそうではない。17年3月期の売上高営業利益率は10.4%で、日用品小売企業のなかでは圧倒的な高さを誇る。

 セリアは、100円ショップとは思えないほどカラフルでおしゃれな雑貨を多くそろえ、特に女性に支持されている。若い女性を中心に、定期的に店舗を回って買った商品をSNSなどで情報発信する「セリパト」(セリア・パトロールの略)という現象を生み出したほどだ。

 こうしたことから、ドンキが今回投入した99円均一の商品は、デザインとターゲットの面において、ダイソーよりはセリアに近いといえるだろう。

 100円ショップ「キャンドゥ」を全国に約1000店を展開するキャンドゥも堅調だ。17年11月期の売上高は前年比1.2%増の688億円と、5期連続で増収を果たしている。

 キャンドゥは老若男女、幅広い層をターゲットとしてきたが、近年はデザイン性のあるおしゃれな商品を増やすなどして、若い女性の取り込みに力を入れている。15年7月には女性に人気のSNS「インスタグラム」の公式アカウントの運用を開始した。こういった施策が功を奏し、16年11月期において20代女性の売上高が前年から7.3%増加し、30代女性は6.6%増えたという。女性の取り込みが進んでいる状況だ。

 100円ショップ業界の大手企業について考察してきたが、100円ショップ市場は巨大で、しかも成長性が高いことがわかる。また、男性よりは女性との親和性が高い市場だ。そうしたことからドンキは100円ショップ市場へ参入するにあたり、まずは女性向けの商品だけで始めたと考えられる。

100円ショップとのガチンコ勝負に突入か

 99円均一という価格設定もドンキらしい。100円均一の店よりも、わずかではあるが安いことをアピールしているようだ。

 ドンキは99円均一売り場を導入し、100円ショップを利用する客を取り込むことを狙っていると思われる。いずれは売り場を拡大するなどして、ダイソーなど100円ショップ企業との全面戦争に打って出ることも十分考えられる。というのも、ドンキはこれまで既存の小売業から利用客を奪うことで成長してきた側面があるためだ。

 ドンキはメーカーから「季節外れ」「流行遅れ」となった化粧品や日用品などを「スポット商品」として安く仕入れ、圧倒的な安値で販売し、競合のドラッグストアなどから利用客を奪ってきた。

 近年は野菜や果物、精肉といった生鮮食品や弁当・総菜を扱う店舗を増やし、食品スーパーから利用客を奪いにかかっている。

 最近では「Windows10」を搭載したノートパソコンや4K対応の大型液晶テレビをプライベートブランドとして開発、安値で販売し、家電量販店から利用客を奪い始めている。

 そして今回、ドンキは満を持して99円均一の売り場を本格導入した。興味深いのは、ダイソーが入居している物件でも店舗を展開していることだ。今のところ呉越同舟の状態ながらも共存しているが、いずれガチンコ勝負にならないとも限らない。

 いずれにしても、100円ショップ企業にとっては心中穏やかではいられない状況ではないだろうか。今後の展開に注目したいところだ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

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