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東京・隣接3県から茨城と福岡へ、会社が転出している理由

文=山田稔/ジャーナリスト
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前年の16位から4位に大幅アップした福岡県

 首都圏からの転出先で注目されている県がもうひとつある。それは福岡県だ。

 16年の福岡への転出企業はわずか4社だったが、17年は18社と4倍以上になった。順位も前年の16位から4位へと大幅にアップした。首都圏から遠い福岡にわざわざ移転する理由は何だろうか。

「近年、首都直下型地震や南海トラフ地震等の震災リスクを避ける動きが出てきています。福岡への移転理由のひとつですね。さらに、100万人都市を抱える福岡県は経済成長が続いているうえ、人材確保でも優位性があります」(帝国データバンクの担当者)

 東京・秋葉原に本社を置いている新ケミカル商事(資本金4億円・売上高約600億円)は昨年9月、18年4月に本社を福岡・北九州市に移転すると発表した。もともと新日鉄住金化学の商事子会社として再編された同社は、14年にスタートした中期経営計画の重要項目「地域戦略の更なる推進」のために移転を決めたという。移転発表のリリースで「重要な取引先が多く立地し、中国、ASEAN諸国との都市間連携を推進している北九州市と連携することで、更なる成長を目指していきます」としている。このほか、県外からの移転ではないが、LINEの子会社LINE Fukuokaは16年5月に、福岡市内の3拠点を博多駅直結の九州最大級のオフィスビルに集約し、新しいオフィスを構えた。

 福岡地域は経済が活性化し、マーケット規模からも人材確保からもメリットがある。しかもアジア諸国とも近く、空港や港などインフラも充実している。製造業からIT(情報技術)、金融まで幅広い企業が注目しているエリアだ。

 20年の東京五輪開催に向け、人口は東京一極集中が止まらない状態だ。しかし、企業の一極集中には確実に変化の兆しが表れている。政府や地方の税優遇措置、地方発の魅力ある情報発信、ITの進展を背景としたテレワークの導入などがうまく絡み合っていけば、企業の地方移転の動きが加速する可能性がみえてくる。
(文=山田稔/ジャーナリスト)

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