ビジネスジャーナル > 社会ニュース > 中国、米朝首脳会談を主導か  > 2ページ目
NEW

北朝鮮「段階的非核化」公表の中国、米朝首脳会談を主導か…米国、独自情報取れず

文=春名幹男/国際ジャーナリスト
【この記事のキーワード】, ,

 トランプ大統領がこうした態度を示したのは、中国が中朝首脳会談の内容を公表した後、とみていい。米国は、中朝首脳会談の内容に関して独自の内部情報が得られず、中国からの報道を受けて、トランプ大統領の態度が変化した、ということになる。

主導権狙う中国

 
 新華社電のなかで、トランプ大統領がもっとも懸念したのは、次の部分だったに違いない。

「韓国と米国が(中略)平和実現のために段階的で同時並行的な措置を取るならば、朝鮮半島の非核化問題は解決が可能となるだろう」

 この部分、具体的な言及ではないのでやや理解しにくいが、次のような意味とみられる。

「韓国と米国が北朝鮮に対する『体制の保障』や段階的制裁解除、経済援助などの同時並行的な措置を取れば、朝鮮半島の非核化問題は解決が可能となるだろう」

 しかしトランプ大統領としては、米大統領として初めてといえるような成果を挙げることを狙っている、とみられる。クリントン氏以降の歴代大統領が取ったこうした段階的解決策をトランプ大統領は繰り返したくないはずだ。段階的で同時並行的な解決策に乗れば、北朝鮮による核廃棄に応じて日米韓側が(1)制裁解除や(2)経済援助―といった措置をとることになる。そうなれば、また過去の失敗を繰り返してしまうことになる、とトランプ大統領は考えるだろう。

 ではなぜ、このようなことが中朝首脳会談後に公表されたのか。

 実は、「段階的で同時並行的な解決策」という部分は北朝鮮の朝鮮中央通信ではなく、中国国営新華社が発表した。恐らく北朝鮮は、こうした非核化の具体的腹案を米朝首脳会談に先立って発表することが不適切なことくらい理解していたに違いない。特に、相手は短気なトランプ大統領だ。

 中国はこれを公表した理由を明らかにしていない。ただ中国側が交渉への参加をにらんで、あえてこの部分を公表した可能性は十分考えられる。米朝首脳会談の主要課題とみられるこうした問題の具体案を公表することによって、中国自身が交渉に加わり、その主導権を握ることを企図した、とみることもできる。

 そもそも中朝首脳会談を先に呼び掛けたのはどちらだろうか。米国の専門家らの間では、中国説も取りざたされている。これまで北朝鮮と韓国、そして米国の3カ国を中心に進められてきた協議のカヤの外に置かれてきた中国が、中朝首脳会談を計画したとの見方もされているのだ。
(文=春名幹男/国際ジャーナリスト)

北朝鮮「段階的非核化」公表の中国、米朝首脳会談を主導か…米国、独自情報取れずのページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!