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美容院やエステサロン、大倒産時代か…長時間労働&低賃金→高い離職率の悪循環

構成=長井雄一朗/ライター
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美容院やエステサロン、大倒産時代か…長時間労働&低賃金→高い離職率の悪循環の画像1「gettyimages」より

 2017年3月、脱毛エステの大手であるグロワール・ブリエ東京が特定商取引法違反などで約97億7200万円の負債を抱えて破産申請に追い込まれた。エステ関連業界では史上2番目の大型倒産で、一般会員約11万人が影響を受けて大きな話題となった。

 帝国データバンクの調査【※1】によると、理美容業の倒産は17年に151件で、11年(149件)を上回り過去最多を記録した。また、前述のグロワールの倒産もあり、負債総額は138億100万円(前年比252.5%増)と過去10年で最大となった。

 負債規模別では、「5000万円未満」が140件と小規模倒産が92.7%を占めている。つまり、中小零細の経営が立ち行かなくなっているということか。今後、理美容業はどうなっていくのか。帝国データバンク東京支社情報部情報取材編集課の伊佐美波副主任に話を聞いた。

離職率が高く人材が流出しやすい美容業界

――理美容業界の構造的な問題はなんでしょうか。

伊佐美波氏(以下、伊佐) 本調査では理容業と美容業に分けていますが、比率としては美容業のほうが多いため、美容業を主軸としてお伝えします。

 まず、当業界は数ある産業の中でも人手不足が顕著な業界のひとつです。帝国データバンクの調べでは、18年1月の美容業の人手不足の指数(正社員が不足している企業の割合)は71.4%にのぼります。全業種平均51.1%を大きく上回っており、このデータひとつを取っても深刻さが垣間見えます。

 この原因のひとつとして、業者側のコンプライアンス意識の低さによる、高い離職率が挙げられます。美容業界は特に低賃金・長時間労働が常態化し、(社会保険の加入などが他業種より遅れていることもあり)福利厚生がほとんど整備されていない業者も少なくありません。そのため、少しでも労働環境が整っているような他業種などに人材が流出するケースも聞かれます。

――美容業界は人材流出が多いということですか。

伊佐 そうですね。先ほどお話しした内容とは少し意味合いが異なりますが、昨年4月に破産した、美容サロン運営のHAIR DIMENSION(負債約3億2500万円)は、人気スタイリストの独立が倒産のひとつの要因でした。

「聖子ちゃんカット」の生みの親として著名な美容師が創業したサロンで、「ナチュラルエレガンス」をコンセプトに、一時は所属美容師が女優・藤原紀香さんのヘアスタイリングを担当したこともありました。しかし、その後は客単価や来店頻度の減少、人気スタイリストの独立などの影響を受けて経営破綻しています。

――逆に言えば、独立しやすい業界ということでしょうか。

伊佐 美容院を取り巻く環境で言うと、最近は一部大手企業でスタイリストの独立支援や復職制度を導入するなど、手厚いキャリアプランを構築する動きが見られます。

 一方、フリーランスを選択する人も増え、そのような美容師も含め、多くの人はインスタグラムやツイッター、フェイスブックなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で自ら情報を発信し、需要創出の機会を生んでいます。

 理美容業界の顧客は二極化しており、「1000円カットで安く済ませたい」という人と「高くてもいいから、人気の美容師に担当してほしい」という人に分かれています。後者の需要を取り込むため、膨大な広告費をかけられない人は、口コミや紹介など個人の営業力も重要になってきます。結局、腕が良くても集客できなければ意味がないですからね。

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