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美容院やエステサロン、大倒産時代か…長時間労働&低賃金→高い離職率の悪循環

構成=長井雄一朗/ライター
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「たかの友梨」も他社に買収された

――社会保険の未加入については、マイナンバー制度とともに対策を迫られていましたが、現状はいかがですか。

伊佐 理美容業界は、厚生労働省が示す「未加入被保険者数が多い上位5業種」に入っています。個人事業者が多く、人材の入れ替わりが激しく定着率が低い業界ですので、手続きが煩雑になることが加入率の低さにつながっているのかもしれません。

 一方で、福利厚生を充実させて法令遵守の姿勢を示すことで、離職防止や採用活動などでも有利に働くでしょう。厚労省も「地方自治体などと情報共有で連携を図り、一層の加入率向上に力を入れる」としており、加入強化が進むと思われます。

――しかし、フリーランスのなかには「手取りが少なくなるから未加入のほうがいい」という意見もあります。

伊佐 確かに、「手続きが面倒な上に負担が増えるのは困る」という声もあります。フリーランスの場合は、時間や場所を制限されずに働きたいという人が多く、複数の美容院で働くケースもありますからね。

――一方、理容業界は個人事業主、さらに言えば親子や夫婦で営業しているケースも多く、社会保険の適用除外になっています。

伊佐 適用除外であれば加入は任意ですから、必ずしも積極的に加入しないでしょう。このケースの場合、どこまで加入率を求めていくかは不透明なところです。

――大手による競争が激化するなかで、美容業界の再編はあり得ますか。

伊佐 東証2部上場のRVHは16年以降、脱毛サロン大手のミュゼプラチナム、エステサロン大手のたかの友梨ビューティクリニック、脱毛サロン大手のエターナル・ラビリンスの事業を相次いで取得しました。今は、大手でも他社に吸収されるケースがあるということです。

 労働環境が悪い不良・不適格業者が存在し、国から行政指導を受けて事業の撤退や大幅縮小に至る企業も後を絶たないです。中小零細が淘汰される一方で、大手も再編や子会社清算の動きが見られます。

1000円カットのQBハウスは海外進出

――倒産ではなく、休廃業や解散の道を選択する企業はありますか

伊佐 17年の休廃業率【※2】は、美容業では1.756%、理容業では2.328%です。全業種の平均は1.667%なので、理容業の休廃業率は平均と比べて比較的高いと言えます。

 一般的に、休廃業の特徴としては「経営者の高齢化の進展」による後継者不在が挙げられるケースが多いです。しかし、18年1月時点の全業種の社長の平均年齢は59.5歳ですが、美容業は53.95歳、理容業は57.7歳と比較的若い。理容業は休廃業率が高い半面、社長の年齢は平均よりも若いのです。

 17年の理美容業における休廃業では、「年商5000万円未満」が74%を占めています。個人経営の店を閉めるにあたって、実際は後継者難より「販売不振」が多いと見ています。

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