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『コンフィデンスマン』絶賛の嵐で視聴率爆増確実…「スゴさ」を番宣で殺すフジの無能さ

文=吉川織部/ドラマウォッチャー

 長澤まさみ主演の月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)の第1話が9日に放送され、平均視聴率は9.4%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。初回1桁台でのスタートは寂しいが、「フジテレビだからつまらないに決まっている」との認識が、それだけ定着してしまっているということだろう。だが、後述の通り、次回以降視聴率を延ばすことは間違いなさそうだ。

 本作は、長澤演じるダー子、東出昌大演じるボクちゃん、小日向文世演じるリチャードの3人が信用詐欺師(コンフィデンスマン)となり、欲望にまみれた人間たちから大金をだましとるという筋立て。つまりは犯罪者が主人公なわけだが、だまされる側がもっと悪い人間であるため、視聴者側は思わず詐欺師を応援してしまうという仕掛けだ。

 毎回、豪華俳優がだまされ役としてゲスト出演することになっており、第1話では慈善事業にいそしむ名士として名を馳せる一方で、裏では経済ヤクザとして暗躍する“日本のゴッドファーザー”役として江口洋介が出演。なんとかして大金をだまし取ろうとするダー子ら3人と、だましだまされの目まぐるしい勝負を繰り広げた。

「すごいドラマを見てしまったな」というのが正直な感想である。先入観を持たないように事前知識をほとんど入れずに見始めたため、導入部でいきなりだまされた。長澤と小日向は極道の世界の人間で、東出はホストなのか、なるほど……と思っていたら、すべて詐欺のためのお芝居だったというネタバラシ。大規模な地下カジノも、ターゲットをだますためだけにつくった偽物だった。

 本編に入ってからもとにかくテンポがよく、台詞の応酬も話の展開もポンポン進む。ダー子たちの計画がうまくいくかと思えばすぐにピンチに陥り、なんだかんだで切り抜けたかと思えば再びピンチが訪れるというストーリーは、目を離している暇がなく初回は30分拡大版ながら、あっという間に時間が過ぎてしまった。

 このドラマの肝は、ダー子がどこまで裏の裏をかいているかにあるため、その驚きや「やられた感」を文章で伝えることはできないと思うが、一見するとただの登場人物紹介に思えた導入部が、第1話の結末の壮大なネタバレになっていたという仕掛けは、ただただ「すごい」の一言である。

 見終わってから、「視聴者をワクワクさせるこの感じは、これまで見たどのドラマに似ているだろう」と考えて真っ先に浮かんだのが、同じくフジテレビ系で放送された『リーガル・ハイ』シリーズだった。テンポのよさや、主人公らが追い込まれてから一発逆転する展開がよく似ている。と思ったら、両方とも同じ脚本家(古沢良太氏)による作品だった。となれば、本作『コンフィデンスマンJP』も、人気作品に躍り出る可能性は決して低くない。むしろ期待を込めて、その可能性はかなり高いと言っておきたい。

 長澤は、いいかげんでだらしない普段のダー子と、詐欺師として極道の女や格安航空会社のCA(客室乗務員)になりきった姿とをメリハリを利かせて演じており、主役として申し分ない。ものまね芸人が演じる「長澤まさみ」に寄せたような演技を見せるなど、コメディエンヌぶりばかりが注目されそうだが、どの場面でも手を抜かず堅実な演技を見せてくれることも評価したい。表面的な部分ばかりをとらえて、「長澤まさみが毎回いろいろなコスプレをする」ことを前面に打ち出した番宣を繰り広げたフジテレビは、無能だと思う。

 東出も、ちょっと頼りなくて長澤らに振り回される「ボクちゃん」にぴったりだし、人が良さそうに見えて実は最も腹黒いかもしれない「リチャード」を演じる小日向の安定感も素晴らしい。不安な点がひとつあるとすれば、「ネタ切れ」である。視聴者をだます脚本は、映画や2時間ドラマのような単発作品ならうまくいくが、連続ドラマでは視聴者も最初から疑ってかかるため、回を重ねるごとに驚きが失われてしまう可能性もある。どこまで視聴者をだまし続けてくれるか、次回以降に期待したい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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