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人手不足に悩む企業の「大きな誤解」…シニア&主婦が活躍できる企業の共通点

構成=長井雄一朗/ライター
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――コンビニエンスストアにしても飲食店にしても、8~10時間といったフルタイムで勤務できるアルバイト・パートはなかなかいません。経営者は、「短時間なら働きたい」という人材を発掘すべきですね。

宇佐川 シニアや子育て中の主婦には「短時間なら働ける」という人が多く、意欲も高いです。主婦が希望する勤務時間・日数は「1日5時間程度、週休3日」が最も多く、シニアは「1日5時間程度、週休2~4日」の希望が最多です。

 シニア雇用の成功例として、北海道のある農園があります。重い荷物を運ぶ重労働がメインで、過疎化もあって人が集まらない。一方で、ピーマンなどを運ぶ軽作業もあり、そちらの業務の短時間アルバイトを募集したところ、シニアの採用につながりました。

 34歳以下の若年層が減少する一方で、シニア層は増加しています。また、主婦の就業率は低く、潜在的には約200万人の人材がいるともいわれています。

 弊社の主な顧客は全国の中小企業様ですが、13年頃から人材不足が顕著になり、採用が困難になる企業様が増えてきました。そこで、埋もれている人材を探して顕在化したのが、「働きたいのに働けない」シニアと主婦です。それぞれの事情を分析したところ、時間的制約の問題が大きいということがわかり、それゆえ「企業は働き方や就労環境を変える必要があるのでは」という方針を打ち出しました。

 その結果、シニアや主婦の方が早朝やお昼などに少し働く「プチ勤務(超短時間勤務)」というトレンドが生まれ、短い時間でも「自分らしく働ける」「『ありがとう』が励みになる」というように、「やりがい」や「働く喜び」を感じる方が増えてきています。

「プチ勤務」で個人の働き方が広がる

――「プチ勤務」は、人手不足解消のひとつの方策となりそうですね。

宇佐川 週の最低勤務日数が「1日・2日」の求人件数は12年度から増加傾向で、16年度は12年度の約3倍となっています。「プチ勤務」は、特にサービス業などで進んでいます。時間的に制約のあるシニアや主婦が、家の近くのコンビニや飲食店で働くという構図です。

――「プチ勤務」は、今後もさまざまなところで応用できそうですね。

宇佐川 次の段階として、「プチ勤務」を正社員の労働時間是正の足がかりにしようと考えています。たとえば、子育てが終わった主婦が週15時間のアルバイト・パートから週20時間の契約社員になり、店長補佐にキャリアアップする。さらに、店長に昇格し正社員に……といったキャリアプランの提案を行っています。そして、一部の補佐的な業務は別のアルバイト・パートを雇用し、店長は8時間で帰宅できるような仕組みを模索しています。

 人材不足がさらに進行することを考えると、「プチ勤務」を兼業や副業につなげることも可能だと考えています。たとえば、月~金曜日まで正社員として会社の仕事をこなし、土日は違う仕事をするという「プチ勤務」もあるでしょう。

 また、親の介護のために退職する「介護離職」でキャリアが中断されてしまうことが問題になっていますが、複数の仕事をまたぐことで柔軟に乗り換えていくことも可能になるのではないでしょうか。

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