小太りの中年男性検事の徳永は良い人すぎるし、一見冷酷そうで口は悪いが実はちゃっかり凜々子を助ける“アツい人物”という大塚は“ありがちなキャラ”だし、被害者である向井の妻は妊娠中の身を押して一人で突然、港南支部の凜々子を訪問し、夫の苦労に気づけなかった自分を責めて涙ぐみながら、「不起訴処分になるんですか?」と凜々子に詰め寄り、その言葉を心を動かされた凜々子は再調査を決意する――って、全編にわたり“お決まりパターン”しかなく、ドキドキ要素もハラハラ要素もワクワク要素もゼロ。

“『HERO』モドキ”というか、“『HERO』の出来損ない”というか、ここまでくると、もはや“『HERO』を侮辱している”レベルでしょ。

 このほかにも、吉高がまったく検事に見ないのはいうまでもなく、セリフも身振りも“私、演技ヤラされてます感”に満ちていて、思わず「下手くそだな~」という言葉が口から出てしまう。吉高って、キャリアを重ねるごとに演技が下手になっていくと感じるのは、私だけだろうか(そういえば、このドラマで主題歌を歌う福山雅治と共演した『ガリレオ』(フジテレビ系)では刑事役を演じていたが、それを見ていたときも同じことを感じた。結局、吉高は、おそらく彼女にとって初めの本格的なドラマ出演作となった約10年前の『あしたの、喜多善男』<同>のときが、一番光っていたのではないか。そのときの吉高はミステリアスで、小日向文世とのコンビは本当に良かった)。

 いずれにしても、見る必然性をまったく感じない、今期ワースト連ドラの予感すら漂う『正義のセ』といえよう。
(文=米倉奈津子/ライター)

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