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放送法改正、狙いは「安倍首相賛美」番組増加か…テレビ局から電波と政治的公平を奪う

文=深笛義也/ライター
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政治的公平の原則撤廃で起こる事態

 放送の政治的公平の原則が撤廃されれば、今よりも幅広い立場からの言論によって報道が活性化するという見方もある。アメリカでは1987年に、放送番組における政治的公平の原則が撤廃された。これはまさに、政治的公平の原則よりも言論の自由が優先するという考えからだ。アメリカの放送は今、どうなっているのだろうか?

「アメリカでは今、シンクレア・ブロードキャスト・グループという巨大メディア企業がトランプ大統領と近い関係になっていて、そのすべての地方局のアナウンサーが、CNNとかNBCがやっているようなものは全部フェイクニュースだということを、一字一句違わず読まされるという、『これって北朝鮮ですか?』というようなことが起きています。

 まして日本は、アメリカのように政権交代が頻繁に繰り返されるということはなくて、自民党一党支配が事実上非常に長く続いている社会ですよね。そういうなかで自由に放送局が何をやってもいいんだとなったときに、たとえば働き方改革ひとつとっても、いろんな論点があります。民放でもインターネット放送でもスポンサーが必要なわけで、そうしたときに自民党寄り、立憲民主党寄り、民進党寄り、希望の党寄り、公明党寄り、共産党寄りとか、それぞれの政党に合わせて、どれだけの放送局ができてくるかを現実的に考えたほうが良いと思います」

 インターネット、CS、BSなどさまざまな放送形態があるが、話題になるのは保守系の番組だ。リベラル系の放送もあるが、ほとんど話題にはならない。

「リベラル系は金がないからじゃないですか。やはり保守系のほうにスポンサーは圧倒的に集まりやすいでしょう。安倍首相の本音は、『素晴らしい安倍さん』と言ってくれるような、自分を気持ちよくさせてくれるような放送局がほしいのではないでしょうか。民放の場合は、ニュース番組だけではなく、ワイドショーがありますよね。その種のものは、おもしろければやる、視聴者が関心があると思ったらやるわけです。

 そうすると森友問題などでは、学園が経営している幼稚園で、園児が教育勅語を唱和しているのを見て、安倍首相夫人の昭恵氏が涙ぐんでいるという映像を何回も流すわけですよね。それはフジテレビであろうが日本テレビであろうが、同じようにやるわけです。視聴率競争があるし、視聴者の反応がいいわけですから。昭恵氏の名はニュースの文脈でも出てくるので、それは安倍首相自身にとっては、とても嫌なことなんだろうと思います。それこそ『徹の部屋』みたいにそんなことには一切触れずに、『安倍さん素晴らしい、素晴らしい』と連発してくれるような番組ばかりになってくれたほうがありがたいな、と本音では思っているのかなと想像します」

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