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さんきゅう倉田「税務調査の与太話」

最高裁が税務署の決定取り消し…正直に修正申告→税務署が卑怯な手口で税金増部分だけ認定

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 ここで、概算経費を実額経費に直すだけの修正申告をして、漏れていた収入は申告しなければよかったのではないか、そうしたら単純に税金が減るのだから得なのではないか、と考える方がいるかもしれません。修正申告について書かれた国税通則法では、次のように規定されています。

「納税申告書を提出した者は、(中略)修正する納税申告書を提出することができる。
一 税額に不足額があるとき。
二 純損失等の金額が過大であるとき。
三 還付金が過大であるとき。
四 税額を記載しなかつた場合において、納付すべき税額があるとき。」(抜粋)

 これらのどれかに該当しないと修正申告はできないわけですが、概算経費を実額経費にすることで経費が増えるということは所得が減ります。つまり、納税額が減るので、修正申告はできないのです。Aさんが修正申告するためには、計上漏れの収入を加算する必要があったのです。

 さて、提出されたAさんの修正申告書ですが、税務署はその内容を精査して、加算された収入については認めるが、概算経費から実額経費への変更は認めないとして処分し、過少申告加算税まで賦課しました。なんて卑怯なのでしょう。開いた口とへそがふさがりません。

 もちろん、Aさんはこれを不服としたわけですが、その結果は最高裁の判断を仰ぐことになりました。最高裁の判決は難しいのですが簡潔にまとめると、所得税額の増額があって修正申告の条件を満たすのであれば、計算誤りを理由として概算経費を撤回し実額経費で計上することができる、と判断しました。

 税金のプロである税務署や国税局の判断でも、最高裁の判断とは異なることがある。最後まであきらめてはいけないよ、という事案でした。
(文=さんきゅう倉田/元国税職員、お笑い芸人)

●さんきゅう倉田
 大学卒業後、国税専門官試験を受けて合格し国税庁職員として東京国税局に入庁。法人税の調査などを行った。退職後、NSC東京校に入学し、現在お笑い芸人として活躍中。2017年12月14日、処女作『元国税局芸人が教える 読めば必ず得する税金の話』(総合法令出版)が発売された。

「ぼくの国税局時代の知識と経験、芸人になってからの自己研鑽をこの1冊に詰めました。会社員が社会をサバイバルするために必須の知識のみを厳選。たのしく学べます」

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