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鷲尾香一「“鷲”の目で斬る」

「田端プリンスホテル」にプリンスホテルが名称差止通告…田端P「問題ない」と主張

文=鷲尾香一/ジャーナリスト

 4月13日、プリンスホテルのホームページにこんな告示が掲載された。

「当社の社名や施設名に類似した施設にご注意ください

 2018年4月某日から東京都北区において、『田端プリンスホテル THE PRINCE TABATA HOTEL』が運営されておりますが、資本関係や提携も含め、当社及び西武グループとは一切の関係はございませんで、十分ご注意ください」

 4月1日、東京都北区田端新町に「田端プリンスホテル」なるホテルが“新規”オープンした。「プリンスホテル」といえば、日本最大手のホテルチェーンだが、田端プリンスホテルは1泊1人5200円からという低価格設定。ビジネスホテルの域を出ていない。影響はすぐに表れた。

「当社に田端プリンスホテルは系列なのか、といった問い合わせが数多く寄せられた」(プリンスホテル関係者)

 田端プリンスホテルのホームページには次のように書かれている。

「-NEW OPEN-
JR山手線田端駅から徒歩10分
リーズナブルなプリンスホテルがオープン」

 明らかに「プリンスホテル」と謳っており、地元では、早くも“バタプリ”なる愛称で呼ばれているようだ。

「プリンスホテル」は商標登録されており、その名称は法的に守られている。すでにプリンスホテルは抗議を行い、「名称差止」の通告書を出した。
 
 1992年4月1日の改正商標法施行では、ある名称を同日の6カ月以上前から継続して使用しており、同年9月末時点でも使用していた場合には、その名称の使用権が認められる。三菱鉛筆が三菱グループとは関係がないのに「三菱」を名乗っているのは、そのためだ。ちなみにプリンスホテルによると、92年4月1日以降に開業したホテルで「プリンスホテル」の名称を使用しているケースは確認されていないそうだ。

 当然ながら田端プリンスホテルは今年4月1日に新規オープンしているので、「プリンスホテル」の名称の使用権は認められない。つまり、商標法違反の可能性が極めて高いことになる。

法的手続きの準備に

 そこで、当の田端プリンスホテル関係者に取材した。

――商標法違反にあたるのでは?

田端プリンスホテル関係者(以下、田端P) 日本全国にプリンスホテルと関係がなくても、プリンスホテルと名乗っているホテルはたくさんある。

――プリンスホテル側から抗議されたのでは?

田端P プリンスホテルのホームページは見たが、プリンスホテルからは何も言ってきていない。

――名称を変更するつもりはないのか?

田端P プリンスホテルから何も言ってきていないし、問題になっていないので、検討以前の話。

 これまでブランドイメージを大切につくり上げてきたプリンスホテルは、名称の使用を安易に許すわけにはいかない。すでに、法的手続きの準備に入っている。
 
 この“ニセプリ”騒動の顛末はどのようになるのか。いずれにしても、旅行者の方々、田端プリンスホテルは、プリンスホテルの系列ではありませんので、くれぐれもご注意を。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)

鷲尾香一/ジャーナリスト

鷲尾香一/ジャーナリスト

本名は鈴木透。元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。

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