「コンビニがドーナツに進出したのは15年のことで、その背景にはコンビニコーヒーの成功体験がありました。コンビニがコーヒー販売を始める前は、既存のカフェチェーンとの顧客の奪い合いが懸念されましたが、実際は客を奪い合うどころか、より多くの人がさまざまな方法でコーヒーを飲むようになった。それにより、一気に市場が広がったんです」(同)

 コーヒーと甘いドーナツは相性がいい。コーヒーとともにドーナツを提供すれば、さらに市場を拡大できる。しかも、コーヒーの前例を見ると、既存チェーンとの客の奪い合いもそれほど心配なさそうだ。セブン-イレブンがレジ横での販売を始めるなどコンビニ各社がドーナツに参入した裏には、そんな思惑があったということだ。

 しかし、この戦略は失敗だった。なぜなら、コーヒーと違って日本のドーナツ市場は、ほぼミスドの独占状態だったからだ。

「日本では、『ミスドの売上高=ドーナツの市場規模』と見てもいいほど、ドーナツ市場の規模が小さい。その小さい市場がただでさえ縮小傾向にあったのに、コンビニの参入で客の奪い合いが起き、共倒れに近い状況になってしまった。コンビニ各社は早々にドーナツから手を引きましたが、ミスドはドーナツから手を引くわけにはいきません。そのため、かなりの苦境に立たされてしまったのです」(同)

 そんななかで昨年11月に始めたのがミスドゴハンであり、今年2月からの本格的な食事メニュー提供というわけだ。

5年後には外食店とコンビニの区別がなくなる?

 主力商品以外にメニューのレパートリーを増やす外食チェーンは、ミスドだけではない。代表的なのが、「吉呑み」を打ち出している牛丼チェーンの吉野家だ。

「牛丼店でちょい飲みを提供する『吉呑み』は、業態転換の顕著な例です。サッと食べる牛丼だけではなく、『会社帰りに1~2杯飲みたい』というニーズを取り込んでいます。牛丼チェーンは生き残りが激しい業態なので、吉野家の動きは早かったといえます」(同)

 そこで生まれたのは牛丼チェーンと居酒屋チェーンの客の奪い合いだが、その後、ファミレスやハンバーガーチェーンなどもちょい飲みを取り入れた。こうなってくると、次はコンビニと外食産業全体の客の奪い合いが始まるという。

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