「ファミレスやファストフードがちょい飲みニーズを取り込めたとしても、生き残れるかどうかはわかりません。ちょい飲みは家飲みニーズとの親和性が高いため、次の段階ではコンビニなど小売店との戦いが始まるでしょう。すでに、コンビニ側も惣菜のレパートリーを増やし、家飲み客を狙っています。このように、本来は別の業界だったはずの飲食と小売の垣根がなくなりつつあるというのが、近年の傾向です」(同)

 そして、業界を超えた熾烈な争いの結果、「これから5~7年のうちに、コンビニと飲食店の区別はほとんどなくなるでしょう」と加谷氏は予想する。

 実際、セブンは創業以来初となる店舗の基本レイアウトの大幅な変更を進めているという。新型店舗では、おでんなどのレジ前商品や食品を拡充し、雑誌スペースを廃止してイートインスペースを確保する予定だ。

「イートインスペースが充実すれば、そこでお酒を飲む人や勉強をする人も増えるでしょう。飲食店との区別は、ほとんどなくなることが予想されます。どこに行っても同じものが食べられる半面、外食そのものに魅力がなくなり、消費者にとっては“つまらない時代”になってしまうかもしれません」(同)

業態転換の難しさを物語る、ミスドの現状

 こうした状況を考えると、満を持して始まったかのように見えるミスドゴハンだが、加谷氏は「スタートダッシュに遅れた感は否めない」と言う。

「ミスドの経営母体であるダスキンは、家庭用具の貸出サービスで成功を収めた企業です。ミスドはダスキンのフード部門として始まりましたが、今や日本のドーナツ市場をほぼ独占していることを考えると、成功しているといえるでしょう。

 つまり、ダスキンは2つの事業で成功した稀有な例となったわけですが、そこで油断したことで、時代の流れに大きく乗り遅れてしまった。皮肉な話ですが、ミスドの例は複数の事業で成功した後の業態転換の難しさを物語るケーススタディになってしまいました」(同)

 ミスドゴハンの主軸であるパスタやホットサンドといった軽食もライバルが多く、生存競争は熾烈を極めることが予想される。果たして、ミスドの戦略は成功するのだろうか。
(文=真島加代/清談社)

●取材協力/加谷珪一(かや・けいいち)
経済評論家。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に入社。野村證券グループ投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。現在は、経済、金融、ITなど多方面の分野で執筆活動をおこなう。著書に『ポスト新産業革命「人口減少」×「AI」が変える経済と仕事の教科書』(CCCメディアハウス)などがある。

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