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ライザップ、「結果にコミットする」経営の不安要因…赤字企業連続買収で「見えにくくなる」実態

文=編集部
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ライザップ、「結果にコミットする」経営の不安要因…赤字企業連続買収で「見えにくくなる」実態の画像1ライザップ本社の入居する新宿フロントタワー(「Wikipedia」より/Mountainlife)

「結果にコミットする」--。これはテレビCMでよく見かける、トレーニングジムRIZAPのキャッチコピーだ。日本語としておかしいとの批判がネットに溢れる。「結果を出すことを約束(コミット)する」なら、「結果をコミットする」というのが正しい使い方ではないか、というわけだ。

 こういった「鬼面人を驚かす」やり方を好むのが、RIZAPグループの瀬戸健社長だ。凄まじい勢いで経営不振企業のM&A(合併・買収)を進めており、経営実態がますます見えにくくなっている。

 RIZAPグループは4月6日、サッカーJリーグ1部の湘南ベルマーレの経営権を取得すると発表した。ベルマーレに33%出資する筆頭株主の三栄建築設計と共同出資会社を設立して、出資や役員派遣を通じてベルマーレを傘下に収める。2020年度までに10億円を投下して選手の育成やクラブハウスの充実に充てるという。

 同社は、発表の1週間ほど前の3月29日、フリーペーパー発行のサンケイリビング新聞社を買収することを明らかにした。フジ・メディア・ホールディングスが100%を保有するサンケイリビング新聞社の株式のうち、80%を取得し子会社にする。買収額は非公表。

 2月19日には、CDやゲームソフトを販売するワンダーコーポレーションを買収すると公表した。大株主であるスーパーのカスミが1株980円でTOB(株式公開買い付け)に応じたほか、第三者割当増資で議決権の58%を取得し3月29日付で子会社にした。買収額は約40億円。

 ワンダーはCDやDVDを扱う主力業態ワンダーグーのほか、新星堂などを北関東中心に300店展開している。だが、近年は音楽や映像のネット配信の影響でソフト販売が低迷、3期連続の最終赤字となっており、2018年2月期も最終赤字となった。

 ワンダーは業態転換を進める。4月9日、「いきなり!ステーキ」のペッパーフードサービスとフランチャイズ契約を結び、6月1日に1号店を茨城県牛久市内に出店する。これが材料視され、4月10日のワンダーの株価はストップ高(前日比400円高の2010円)で配分された。だが11日には一転して、一時250円安の1760円まで下げ、終値は1770円(240円安)だった。

上場会社の買収は9社

 RIZAPグループは16年7月、商号を健康コーポレーションから現社名に変更し、M&A攻勢に一段と拍車をかけている。主に業績不振の上場企業がターゲットだ。

 17年2月、カジュアル衣料のジーンズメイトをTOBと第三者割当増資で子会社にした。ジーンズメイトは17年2月期まで9期連続の最終赤字。取得額は23億円。

 同年3月、フリーペーパーを発行するぱどを子会社にした。10億円を投じ出資比率を71%に高めた。

 同年5月、和装品などを手掛ける堀田丸正を子会社に組み入れた。第三者割当増資を19億円で引き受け、出資比率を議決権ベースで62%にした。

 同年12月、サッカーやランニング関連のスポーツ用品店、ビーアンドディーを子会社にした。首都圏で27店を展開しているが赤字続き。親会社のスポーツ用品店チェーン、ヒマラヤから譲り受けた。譲渡額は1円だった。

 ワンダーを含めて、上場企業の買収は9社に上る。

 M&A戦略を進めるRIZAPグループの業績は好調だ。18年3月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高に当たる売上収益が前期比58%増の1502億円、営業利益は同27%増の130億円。当期純利益は同4%増の80億円を見込む。

 業績を牽引しているのがパーソナルトレーニングジムRIZAPだ。12年に第1号をオープンして以来、快進撃が続く。売り上げは倍々ゲームで成長を遂げ、17年12月期末現在、国内外で148店にまで拡大した。会員数は累計9.8万人という。

 パーソナルジムのRIZAPを中心とする美容・健康関連事業の17年4~12月期の売上収益は前年同期比2.8倍の498億円。全社のそれ(991億円)の50%を占める。営業利益は同37%増の72億円。全営業利益(81億円)の89%を叩き出し、他の事業部門の赤字を穴埋めしている格好だ。

 今では減量ジムの一本足打法となっているが、もともとは美容・健康関連の通販会社である。03年4月、瀬戸社長が24歳の若さで健康コーポレーションを創業した。サプリメント、豆乳クッキー、家庭用音波美顔器など販売する商品アイテムを次々と替え、やっとRIZAPにたどり着いた。

 そして、RIZAPの稼ぎでM&Aに傾注している。減量ジムの好調とM&Aによる成長戦略が評価され、株価は上昇した。新興市場の札幌アンビシャスに06年5月に株式を公開して以降の株価の最高値は、「日経会社情報DIGITAL」によると17年11月24日の3090円。株価が最も低迷していた09年4月8日の安値2.6円(株式分割による調整済の株価)の実に1188倍だ。

 驚愕の株価上昇は「結果にコミットする」RIZAPの賜物だ。しかし、今後も持続的な成長が可能なのか疑問視する向きも少なくない。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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