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白河桃子「ここがおかしい」

就活学生、残業月40時間以下が最低条件…その「本当の理由」が極めて先見的

文=白河桃子/少子化ジャーナリスト、働き方改革実現会議民間議員、相模女子大学客員教授
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若者は「甘く」はない

 こうした話をすると、上の世代からは「最近の若い者は……」というため息が返ってくるのですが、彼らは決して「甘い働き方」を望んでいるだけではありません。むしろ「成果主義で評価してほしい」という声も強いのです(2017年6月1日付日経新聞ウェブ版記事『残業40時間ありえない 就活生100人調査』より)。

 多世代が集ったワークショップでは「仕事も育児もちゃんとやりたい」という「ちゃんと」思考の女子大生に対して、現在両立中の女性が「私はマミートラックでもOK」と柔軟な考え方を示す場面も見られました。また、男性社員からは「妻は専業主婦で子育てに専念しているが、どうしたら仕事に復帰してもらえるのか?」という悩みが漏れました。一家の大黒柱を一人で背負う男性の重圧も、この流動的な時代には無視できないものです。

 とにかく「この世代はこんな仕事観なんだ」と違いがわかっただけでも、やってよかったと思います。ミレニアル世代は今の40代以上にとっては、宇宙人のような存在。今までにない働き方を望んでいました。

転勤、残業嫌い――その裏にあるスピード感、成長意欲、マルチ思考

 それでは、この世代の優秀な学生たちが行きたい企業になるにはどうすればいいのか?

 某商社の1年目と3年目の男性社員にインタビューしたことがあります。

「やろうと思ったら、もっと仕事を引き受けることはできる。あえて、仕事一色にはならないようにしている。有休をしっかりとって、学生時代からやっている国際的な社会貢献活動にも参加する」

「優秀な同期や先輩をみていても、上下関係などで5割ぐらいしかパフォーマンスを出せていない感じがする」

 彼らは成長意欲が高く、会社漬けでは成長できないと思っている。多くのミレニアル世代が残業を嫌うのは、ワークライフバランスの観点から。そして、その会社でしか通用しない人間になることを極度に恐れているともいえます。「安定した会社に行きたい」という安定志向、そして「安定はない。この会社に一生いるとは限らない」という危機感も持ち合わせています。