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池内ひろ美「男と女の問題を斬る」

【次官セクハラ】川合俊一「記者を男性にすればいい」発言、米国なら社会的立場失うレベル

文=池内ひろ美/家族問題評論家、八洲学園大学教授
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川合さんの発言は、男女差別に拍車をかける

 もし川合さんや長尾議員のような発言が米国でなされたら、どのようなことになるのだろう。米国事情に詳しい友人夫婦はこう語る。夫は米国の大学で教鞭を執り、妻は長年外資系企業に勤務した経験を持つ。

「『女性記者が受けた被害をセクハラとは感じない』と、メディアを通じて発言すれば、『無知な人間』とレッテルを貼られるだけでなく、社会的立場を失う可能性が高い。メディア露出度の高い仕事に就いているならば、なおさらです。セクハラを容認したとすると、私生活でも近隣住人から口をきいてもらえなくなったり、地域社会では白い目で見られ、買い物ひとつするにも、嫌がらせを受けるかもしれません」

 米国の女性たちはセクハラに対して、日本人の何倍も敏感である。理由の一つには、現在の権利を勝ち取るために、彼女たちは相応の主張・行動を起こしてきた歴史と自負があり、時代を逆戻りさせかねない言動を受け入れがたいからである。「セクハラは立派な犯罪行為」ととらえ、理解と協力を示す米国人男性も多い。

 また、セクハラに対して泣き寝入りしていた女性たちが一気に立ち上がり、各界の重鎮たちを辞職に追い込む勢いがアメリカにはある。したがって、セクハラ議論を起こした女性に対し、国会議員が「セクハラとは縁遠い女性たち」などと揶揄したのであれば、即刻辞任に追い込まれ、選挙で再選されることはないだろう。

 そもそも、セクハラはあってはならない行為である。「セクハラをなくすために担当記者をすべて男性にすべき」など、本質的な問題を見ずに男女差別に拍車をかけ、さらには「男性は性的衝動をコントロールできない」と受け止められれば、多くの男性にとっても不名誉なことではないか。

 私は、大学での教員によるキャンパス・セクハラを防止するための講演や、企業内セクハラ・パワハラ防止のための講演に出向くことも多いが、さらに広く周知しなければならないと感じる。グローバリズムとダイバーシティのなかで、女性活躍を推進する日本では特に必要なことだろう。

 日本の商社マンは海外赴任の前に、現地でセクハラ的な発言・行動をとらないためにレクチャーを受けている。今後は海外留学生に対しても必要だろう。それらは他者を守り、自分自身を守るための必須レクチャーなのだ。私たちは、他人事ではなく自分自身に置き換えて考える必要がある。
(文=池内ひろ美/家族問題評論家、八洲学園大学教授)

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