再生エネでの日本の遅れは、欧州と比べて歴然だ。15年の欧州連合(EU)は加盟国平均が29%、うちドイツ29%、英国25%と、再生エネが主力電源に育っている。欧州の再生エネの柱は、太陽光よりも風力だ。日本と同じ島国の英国は、25%のうち風力が12%と、太陽光の2%の6倍に上る。ドイツも、風力は太陽光の2倍と際立つ。

 遅ればせながら、経済産業省は洋上風力発電の普及を目指した「洋上風力新法案」を今国会に提出した。日本では浅瀬が少ないため、洋上風車の様式も海底の基盤の上に風車を建てる着床式より、海上に浮かせる浮体式が有利だ。

 出力7000キロワットの大規模風車は、高さ約190メートル、羽の長さ約80メートル。3基が稼働すれば、年間発電量は約1万2000世帯分の年間使用量に相当するという。2000キロワットの風車1基は、すでに東北電力に売電している。

始動した世界最大の水素プロジェクト

 フクシマ復興のカギとなる、もうひとつの新エネルギーが水素ガスだ。福島第一原発が立地する大熊、双葉両町とともに事故で最大の被害を受けた浪江町の産業団地で「水素プロジェクト」が進む。

 同プロジェクトは、国立研究開発法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が主導し、東芝エネルギーシステムズと岩谷産業、東北電力の協力を得て、世界最大級の出力1万キロワットの水素製造装置を備えた水素エネルギーシステムを構築する。

 特長は、太陽光から水素を製造することによって二酸化炭素(CO2)の排出をなくす一方、再生エネの利用を拡大することだ。実現すれば、1日の水素製造量で約150世帯の家庭に電力を供給、または燃料電池自動車約560台分の水素を供給できる。用途は電力会社や燃料電池車・バス向け水素ステーションなどに広がる。

 政府は今夏にも改定するエネルギー基本計画で、水素重視の方針を打ち出す。昨年12月に発表した水素基本戦略で、福島プロジェクトについて、福島県内ばかりか「20年の東京五輪でも、同プロジェクトで製造した水素を利用する」と表明している。

 水素は水を電気分解して得る。炭素分を含まず、地球温暖化をもたらすCO2を排出しない特性がある。水素技術は日本勢が先進的に取り組む。トヨタ自動車は、すでに燃料電池乗用車「MIRAI」を発売している。浪江町役場産業振興課は、「18年度に土地の造成を終え、(水電解装置などの)製造設備をつくって20年度中に運用開始する」と明言した。

 フクシマ発のエネルギー革新の芽は、確実に育っている。
(文=北沢栄/ジャーナリスト)

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