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開業1周年のギンザシックスが閑散…買い物しない客たち、斬新な取り組みが裏目に

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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新たな試みが裏目に出ている?

 新たな試みに評価の声が上がる一方、それが裏目に出ているとの指摘もある。

 ギンザシックスは壮観な吹き抜けを設けたほか、屋上に緑豊かな庭園や、アート作品を鑑賞できるギャラリーがあるなど、無料で楽しむことができる施設が充実しており、そういった場所に多くの人が足を運んでいる。だが、買い物をせずに無料施設だけで時間を過ごして満足して帰る人も少なくない。

 筆者はギンザシックスに何度も足を運んでいるが、その都度、退館する人を観察してみると、他の百貨店と比べて買い物袋を下げている人の割合が少ないことがほとんどだった。話題の施設ということもあり、観光スポット代わりに利用している人やウィンドウショッピングだけを楽しんでいる人が多いと推測できる。

 売り場の状況も厳しい。地下2階にある食品フロアはいつ行っても賑わいを見せているが、1階から5階で展開しているファッションフロアはいつも閑散としている。通路を歩いている人はいるが、各ブランドの売り場に入る人や接客を受けている人が少ないことが常で、手持ち無沙汰な販売員が少なくない。

 ギンザシックスのファッションフロアは他の一般的な百貨店とは異なり、壁で各ブランドが明確に区切られているので、ブランドの世界観が構築しやすいというメリットがある一方、ハードルが高い印象を与えてしまい、入りづらい雰囲気を醸し出している側面がある。

 また、多くのブランドが空間を贅沢に使って商品を展開しているため、「売るための売り場」というよりは「魅せるための売り場」になっているケースが多く、加えて他の百貨店と比べて陳列量が少なくなりがちなので、ウィンドウショッピングには適しているものの、選択肢の少なさから実際に買い物をするには適していない売り場になっているようにも見える。

 化粧品売り場が地下1階にあるのも裏目に出た例といえる。一般的な百貨店では化粧品売り場を1階で展開することが多い。それは、メインターゲットである女性客を引きつけるためだ。しかし、ギンザシックスでは吹き抜けを通じて化粧品の匂いが上階に漂ってしまうため、1階で化粧品売り場を展開することが困難だ。そのため地下1階で展開していると考えられるが、1階で展開するのと比べて売り上げは落ちてしまうだろう。

 新しい試みが裏目に出た側面が目立ったギンザシックスの初年度。ある程度は織り込み済みだろうが、楽観視できる状況ではないと筆者は考える。今年度は、いかにして来店客を購買に結びつけるのかが問われそうだ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

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