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西川立一「流通戦争最前線」

MEGAドンキUNY、究極のノウハウ結集で圧巻…スーパーと家電量販店から客を争奪

文=西川立一/流通ジャーナリスト、マーケティングプランナー
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従来とは一変した取り組み

 反転攻勢にも出た。GMSが家電量販店の攻勢やネット通販の台頭で縮小を余儀なくされた家電売場を復活させ、電子レンジ、ドライヤーなどの調理家電や理美容家電を中心に山積み展開している。至近距離にある「コジマ×ビックカメラ」とは異なり売場面積も大幅に小さいことから、持ち帰り品をメインとすることで正面衝突を避けながら、価格で真っ向勝負する。

 子育て世代を取り込むため、NB(ナショナルブランド)の玩具も充実させた。ただ、キッズのファッションは品揃えが不十分で今後修正が必要となろう。スポーツも強化し、ウエアとグッズを拡大して展開し新たな需要を取り込もうとしている。専門店にシェアを奪われ諦めていた分野に再挑戦する取り組みだ。

 GMSで比較的堅調な食品では、ディスカウント性を強め、競争力を高めようとしている。ドンキの得意とする集客マシンとなる菓子、酒は、スポット仕入れも活用し安さをアピール、売り場も倍増させた。ユニーの強みである、野菜や肉、魚といった生鮮品も拡充した。特にニューファミリーの需要が旺盛な精肉は売り場を1.5倍に広げ、近年ニーズが高まる惣菜では、198円の弁当など低価格帯の商品を投入している。

 仕入れ全般において、定番商品を6割に抑え、スポット商品を4割にし、競合店の価格を調査する「プライスチェッカー」を置き、地域一番価格を追求することで、プライスで徹底的に戦っていく。

 従来とは一変した取り組みで、売上を以前より直営ベースで1.5倍に増やし、収益面では粗利益率を下げて低価格を実現させることで、売上を伸ばし粗利額を増加させ、利益を確保する。部門別にみると食品のディスカウントで客を集めて、利益率の高い非食品で稼ぐという構図だ。

 売場の演出もドンキ流の買い物の楽しさを表す計算された宝探し的な「圧縮陳列」をやや薄めながら展開、目玉商品を大量に積み上げ、POPライターによる手描きPOPも売場の至る所に掲示され、とにかく安さを強調する。ピアゴ時代の客はその変わりように驚くだろう。

ポストGMSとして唯一無二の存在に

 こうしてGMSを再生し、フルラインディスカウンターに生まれ変わらせて総合業態として生き残りを図るMEGAドン・キホーテUNY。出足は新たな顧客を取り込んでおおむね順調で、今後1年かけて検証し業態の完成度を高めていく。

 今回のプロジェクトには、長崎屋の再建で手腕を発揮しMEGAドン・キホーテ業態の骨格を創り上げた関口憲司執行役員を送り込んでおり、狭小商圏での新たな業態づくりに挑もうとしている。食品と非食品の双方を強化することで、ポストGMSとして唯一無二の存在にしていく考えだ。

 小売業界の異端児ドンキが、中京地区を中心にかつてのメインストリームを歩んでいたユニーの救世主となり事業を再構築し、生き残りを目指して主導的な役割を果たすという下剋上的な出来事は、業界が曲がり角を迎え変革期にあることを如実に物語っている。

 ドンキホーテホールディングスは2020年までに、500店舗に拡大し売上高1兆円を目指している。さらにその先は、小売業界の新たな盟主として君臨する野望も見え隠れする。

 小売の歴史を振り返れば、もとはといえば百貨店は定価販売、スーパーはダイエーの価格破壊に象徴されるディスカウンターであり、ユニクロやニトリもSPA(製造小売)による低価格で既存勢力を脅かした。価格が歴史を塗り変え盟主が交代してきた。その行方を占う意味でも、MEGAドン・キホーテUNYの成否がきわめて注目される。
(文=西川立一/流通ジャーナリスト、マーケティングプランナー)

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