ビジネスパーソン向け人気連載|ビジネスジャーナル/Business Journal
燃料プールは一定の仕切りで燃料同士を離して保管するようになっていますが、近年、使用済み核燃料の増大で保管に困った電力会社は、ラックと呼ばれる仕切りを狭めることで、ぎゅうぎゅう詰めの状態で保管するまでになっています。この状態は、燃料棒同士が接触しやすくなっており、プール内で核分裂を招きやすい非常に危険な状態なのです。
日本では、使用済み核燃料はプールで十分に熱を冷ました後、青森県の六ケ所村にある再処理工場施設に送って、そこでウランやプルトニウムを取り出して新しい燃料に加工することが前提でした。しかし、これまでに2兆円以上のコストをかけてなお、再処理工場稼働のめどは立っておらず、永遠に処理できないまま、核のゴミは、全国の原発の使用済み核燃料プールで貯蔵され続けているのです。
日本は火山大国、地震大国です。火山の噴火による火砕流や火山灰、津波などの災害とは無縁でなく、すぐそこにある危険と背中合わせなのです。そのうえ、航空機の事故、隕石の落下、北朝鮮のミサイル攻撃などがあれば、使用済み核燃料プールの崩壊によって大惨事が予想されるのです。のん気にオリンピックなど開いている場合ではないでしょう。
一刻も早く、原発ゼロに政策の舵を切り、核のゴミをどう処分していくかを検討すべきです。日本中に国民が住む場所がなくなる事態を回避するためにも、これこそが日本の喫緊の課題といえるのではないでしょうか。
(文=神樹兵輔/マネーコンサルタント)