ドコモの親会社、NTTの鵜浦博夫社長は2月9日の決算会見の席上で、「(楽天に対し)EC分野でお手伝いできる良いパートナーと考えていたが、(自前でやるということで)別のパートナーを考えていく必要がある」と語り、グループとして楽天との協業関係を見直す可能性に言及した。

 楽天が自前で回線網を持てば、稼ぎ頭のNTTドコモと激しい競合関係となる。そこで楽天との友好関係は維持できないと三下半を突き付けたわけだ。

 電波監理審議会の結論は、「自前で電波や設備を持て」という内容だ。サービス開始当初、既存の携帯電話会社との共有化やローミング(相互接続)は認めるが、あくまで時限的措置にすぎず、将来は自前でまかなわなければならない。これが楽天に課せられた厳しい条件だ。

 携帯電話事業に参入するハードルは極めて高くなったといえる。ドコモとの友好関係を前提とした6000億円の設備投資計画は、一から考え直さざるを得ない。

 楽天の当初のサービスはドコモとのローミングに頼らざるを得ないが、はたしてこの交渉がスムーズにいくのだろうか。

 NTTドコモとドラッグストア大手、マツモトキヨシホールディングスは4月18日、マツキヨの店舗で買い物するとドコモのポイントサービス「dポイント」とマツキヨの「マツキヨポイント」が同時にたまるサービスを始めると発表した。楽天との協業関係を解消すると表明していたが早速、行動に移した。

 ドコモはdポイントカードの加盟店を増やしており、dポイント会員は18年3月末で約6500万人。カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が展開する共通ポイントサービス「Tポイント」に匹敵する。

 ドコモがdポイント会員に力を入れるのは、楽天の携帯電話市場への参入で、7567万件(17年12月現在)の契約件数が頭打ちになる可能性があるからだ。楽天のポイントサービスの利用会員は約9500万人と、ドコモに大差をつけている。

 今後、携帯電話で楽天がドコモを追い、ポイントサービスではドコモが楽天を追い上げる激しい顧客争奪戦が繰り広げられる。ドコモと決別した楽天は、携帯電話事業を無事に離陸させることができるだろうか。

官邸主導の“楽天ケータイ”に逆風

 楽天が第4の携帯電話事業会社になれたのは、防衛省や放送事業者が使っていた周波数帯を通信事業者に割り当てることになった“規制改革”のたまものだ。

 規制改革の旗振りをしているのは首相官邸だ。「三木谷氏と安倍晋三首相は親密な関係にあり、三木谷氏は総務省を飛び越えて官邸に話を持っていった」と永田町では囁かれている。政権の後ろ盾で誕生した“楽天ケータイ”にも、逆風が吹きつけている。「モリ・カケの次は楽天」などというブラックジョークまで流布しているという。
(文=編集部)

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