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「相馬勝の国際情勢インテリジェンス」

中国、民主化のうねり始動…北京大学、習近平「独裁体制」批判が相次ぐ

文=相馬勝/ジャーナリスト
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「私は1980年代、彼と親交があった。彼は北京大学に在学中だった文革時代に毛沢東主席に反対したことで、両足を失うなどの迫害を受けたが、文革後、北京大学に復学し、民主化運動に携わった闘士だ。1980年代に北京大学がある北京市海淀区の人民代表選挙(東京都の区議選に相当)に出馬したことがある。その際に彼は学生に、『中国共産党に入党したほうがよい。入党して、言論出版の自由を主張し、わが国の改革を進展させようではないか』と主張していた。いまも民主化の実現を目指して闘っている」

 RFAは壁新聞の情報を入手後の5月7日、北京大学に電話取材したところ、電話に出た職員は「はっきりとわからない」とか「そんなことは、まったく知らない」と答えたというが、これについて、胡氏はこう指摘する。

「北京大学は伝統的に個人の意見を尊重することで知られ、文革時代や天安門事件当時でも壁新聞がはがされるということは、ほとんどなかった。今は10分で撤去されるほど、言論統制が厳しくなっていることがよくわわる」

 また、1989年の天安門事件のきっかけとなった同年春の民主化要求運動の指導者だった王丹氏は、次のように指摘している。

「中国の民主化運動はこの30年間、当局によって抑えつけられてきたが、この4月から5月にかけて、北京大学の女子学生にセクハラを働いていた大学教授を糾弾する壁新聞や、今回の樊氏の習氏批判の壁新聞など現体制を批判する動きが表面化してきた。私は中国社会の大きな変化だと思う。習氏が憲法を修正するなどの動きなどについて、社会的な不満が噴き出し始めており、今後民主化実現への大きなうねりに発展することも考えられる」

(文=相馬勝/ジャーナリスト)

相馬勝/ジャーナリスト

相馬勝/ジャーナリスト

1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。著書は「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)、「習近平の『反日計画』―中国『機密文書』に記された危険な野望」(小学館刊)など多数。

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