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実写は失敗だらけのディズニー、人気コンテンツ買収→続編連発で大儲け商法…その先の野望

文=ソマリキヨシロウ/清談社
実写は失敗だらけのディズニー、人気コンテンツ買収→続編連発で大儲け商法…その先の野望の画像1東京ディズニーリゾート(「Wikipedia」より/mekarabeam)

 ディズニー(ウォルト・ディズニー・カンパニー)と聞くと、あなたは何を思い浮かべるだろうか。ディズニーランドやディズニーシー、あるいは『ライオン・キング』や『アナと雪の女王』といったアニメ作品かもしれない。

 しかし、実はディズニーは世界有数のメディア・エンターテインメント企業でもある。アメリカの3大ネットワークのひとつであるABC(アメリカン・ブロードキャスティング・カンパニー)やスポーツ専門局のESPN、さらに大手インターネットポータルを傘下に収めているのだ。

 そのディズニーが、今度は大手エンタメ企業の21世紀フォックスを買収することを発表した。その狙いは、どこにあるのだろうか。

買収で巨大化してきた“ディズニー帝国”

 2月10~12日の3日間、ディズニーはファンのためのスペシャルイベント「D23 Expo Japan 2018」を東京ディズニーリゾートで開催した。

 貴重なグッズの展示やコンサートなどのイベントが行われ、実写版『ダンボ』や『メリー・ポピンズ・リターンズ』など、これから公開される新作映画のお披露目も行われ、詰めかけたファンから喝采を浴びた。

 東京ディズニーリゾートでは、『美女と野獣』エリアなど新アトラクションの建設も進んでいる。さらに、ディズニーランド、ディズニーシーに続く「第3のパークが日本に開業する」との噂も流れており、豊富なコンテンツを有するディズニーが日本での存在感を加速させている印象だ。

 そして、それは世界的にも同じようだ。2017年12月、ディズニーは21世紀フォックスの映画・テレビ事業を524億ドル(約5兆6000億円)で買収することを発表した。

 21世紀フォックスは、映画制作会社の20世紀フォックス、テレビ局のFOXネットワークス、さらにナショナルジオグラフィックなどを抱える巨大エンタメ企業だ。

「ディズニーは、これまでも買収によってコンテンツを充実させてきました」と語るのは、映画業界に詳しいアナリスト・評論家の吉田味庵氏だ。

「ディズニーグループのなかでも大きな収益を生んでいるABCも、1996年に買収したものです。2006年には、企業パートナー的な関係だったアニメ制作会社のピクサー・アニメーション・スタジオを74億ドルで買収し、子会社化しています。

 そして、09年にも『アイアンマン』のヒットで躍進していたマーベル・エンターテイメントを42.4億ドルで買収。さらに、12年末には映像制作会社のルーカスフィルムを約40.6億ドルで買収し、『スター・ウォーズ』に関する権利のほぼすべてを手に入れています」(吉田氏)

ディズニーがネット配信ビジネスに参入?

 ディズニーがルーカスフィルムを傘下に納めて以降、『スター・ウォーズ』は新たなシリーズが次々と制作され、毎年のように関連作が公開されている。

 では、なぜディズニーは積極的に大型買収を行っているのか。その背景には、過去の映画事業の失敗があるという。

「アニメ作品は安定していますが、実写映画でヒットしたのは『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズぐらい。『ジョン・カーター』や『ローン・レンジャー』など、実は失敗作だらけなんです。そこで、ヒットしそうな作品をスタジオごと買っているのでしょう」(同)

 もっとも、これは“映画ファン的な見方”だという。ビジネス的な観点から考えると、「ディズニーが独自のネット配信ビジネスに参入するための布石」という見方もあるようだ。

 現在の映像ビジネスは、劇場公開、DVDなどパッケージのセル&レンタル、ケーブルテレビといった従来の手法が衰退する一方で、「Netflix」「Hulu」「Amazonプライム・ビデオ」といったネット配信モデルが主流となっている。

 ディズニーはこの市場に参入して独自に新サービスを立ち上げ、自社が権利を持つコンテンツを配信していくのでは……という見方も出ているのだ。

「21世紀フォックスはHuluに出資しており、今回の買収でディズニーは結果的にHuluの大株主になりました。ディズニーが独自の配信サービスを立ち上げるのであれば、Huluも大きく変わる可能性が高いですね」(同)

ディズニー、真の狙いは知的財産権?

 今回の買収により、『エイリアン』や『ダイ・ハード』といった21世紀フォックスのヒット作もディズニーのものとなった。ただし、その狙いは「単に、過去の名作をネット配信で垂れ流す」というものではなさそうだ。

「配信サービスで過去作をラインナップしたところで、そこまで大きなビジネスにはなりません。ディズニーが欲しかったのは映画そのものではなく、タイトルやキャラクターなどのIP(知的財産権)でしょう。IPを持っていれば、続編やスピンオフ、テレビシリーズなどをつくることもできるからです」(同)

 すでに、ディズニーは自社のアニメキャラクターを使って、おびただしい数の続編やテレビシリーズを制作している。マーベルのキャラクターも、すでにファンでもフォローしきれないほどのスピンオフやテレビシリーズが制作・放送されている。今後、21世紀フォックスのコンテンツも同じように増殖していくのだろうか。

 また、「IPを生かす」という部分では、ディズニーが持っているテーマパーク事業が強みになるという。ルーカスフィルムを買収する前から、ディズニーランドには『スター・ウォーズ』のアトラクションがあったが、19年にはカリフォルニアとフロリダのパークに「STAR WARS:Galaxy’s Edge」というエリアが完成する。

 21世紀フォックスが版権を持つ映画『アバター』のアトラクションも、すでにフロリダの「アニマル・キングダム」に誕生しており、今後は21世紀フォックスのIPを活用したアトラクションやショーが続々と生まれることは想像に難くない。

「もはや、ディズニーに買えないものはないといってもいい。すでに、次のターゲットを探しているかもしれないですね」(同)

 さらに巨大化する“ディズニー帝国”の今後を、世界が注視している。
(文=ソマリキヨシロウ/清談社)

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