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宮永博史「世界一わかりやすいビジネスの教科書」

ライザップとアマゾン、実は意外に気づかれていないマーケティング戦略

文=宮永博史/東京理科大学大学院MOT<技術経営>専攻教授
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アマゾンのターゲット・セグメントはどこか

 アマゾンは、よく知られているように、創業者であるベゾス氏がインターネットの成長性に目をつけ、書籍のネット販売を開始したのが最初である。世界最大の書店を謳い、リアルの書店ではできないサービスを取り入れ、急成長していく。書籍の通信販売で成功すると、次に音楽CDや映画DVDへと進出している。

 アマゾンの場合、この展開は最初から計画されていたものだ。ベゾス氏は、実際に書籍のネット販売を開始する前に、次のような「セグメンテーション」と「ターゲティング」を実行している。

1.【要件定義】インターネット上で扱う商材が持つべき要件を9つリストアップ
2.【セグメンテーション】その要件に適した具体的な商材20をリストアップ
3.【ターゲッティング】20の商材のなかから、最初に「本」を選択

 ここで大事なことは、STPの本質は、単に気まぐれに1つのセグメントを選ぶのではなく、体系的な構造を構想して、その最初の一歩としてどのセグメントを選ぶかというターゲッティングである。最初の一歩を踏み出してから次を考えるのではなく、最初から二の矢、三の矢を考えておくことだ。

 最後に、読者の皆さんはすでにお気づきのように、ここで紹介したアマゾンの事例では、STPというフレームワークを「顧客」に適用したのではなく、「商材」に適用している。フレームワークも、教科書の内容を鵜呑みにせず、自らの創意工夫で修正していくことが成功への鍵といえる。
(文=宮永博史/東京理科大学大学院MOT<技術経営>専攻教授) 

●宮永博史 
東京理科大学大学院 経営学研究科 技術経営専攻教授。東京大学工学部・MIT大学院修了。NTT、AT&T、SRI、デロイトトーマツコンサルティング(現アビームコンサルティング)を経て2004年より現職。主な著書に『ダントツ企業』『顧客創造実践講座』『世界一わかりやすいマーケティングの教科書』『幸運と不運には法則がある』『理系の企画力!』『技術を武器にする経営』(共著)、『全員が一流をめざす経営』(共著)、『成功者の絶対法則 セレンディピティ』などがある。

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