総務省は繰り返し通知

 他方、過疎化や企業の流出に悩む地方の市町村にとって、ふるさと納税はかすかに残された税収増のチャンスでもある。のらりくらりと総務省の通知をかわしながら、ふるさと納税を集めるための戦略を着々と進めた。そこで市町村が頼りにしているのが、インターネット上でふるさと納税を紹介する「さとふる」や「ふるさとチョイス」だ。

 特に、ふるさと納税のクラウドファンディングサイトでは国内最大規模を誇る「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクは、東京ビッグサイトで「ふるさと納税大感謝祭」を開催し、ふるさと納税の機運を必死に高めてきた。

 各地の自治体が一堂に会する同イベントは、ふるさと納税の返礼品を展示し、各ブースで試食会が催されている。来場者は思い思いに肉や魚に舌鼓を打つ。試食や試飲で肉や魚、酒を振る舞う市町村のブースは黒山の人だかりでにぎわう。対して、展示品だけを並べる市町村のブースは閑古鳥が鳴いているという有様だ。ある東京23区の職員は「まるで百貨店の物産会のような光景だ」と、批判的にこう話す。

「これでは、ふるさと納税の意義を知ってもらうことは難しく、ふるさと納税をした人たちも自治体が何に使っているのかを知ることはないだろう。結局、ふるさと納税は寄付文化という美名を着た、税金を肉や魚に化けさせる制度でしかない」

 総務省の通知から1年が経過。一時的に鳴りを潜めた豪華な返礼品だったが、最近は戻り気味になっている。結局、目立った改善効果は薄かった。依然として“官製通販”とのそしりが大きく、批判に耐えかねた総務省は18年度から返礼品を市町村と関連のある地場産品に限定するよう再通知した。

「ふるさと納税は、ふるさとに恩返しをする目的で創設された制度です。返礼品も、納税をしてくれた人に市町村から感謝の意を伝えるというものです。返礼品を贈ることで、地方の経済を回すという目的もありました。しかし、返礼品ラインナップにスペイン産のワインなどが並んでいるケースもあり、返礼品が地域振興に結び付いていないケースも散見されます。そうしたことから、返礼品の見直し作業が進められていたのです」(総務省職員)

 今回、総務省が出した通知も、先の通知同様に法的な強制力はない。しかし、繰り返し総務省が通知を出していることからもわかるように、ふるさと納税が制度思想を超えて暴走・濫用されていることは確かだ。止まらない返礼品合戦に、さすがの総務省も我慢の限界に達しつつある。総務省の介入で、ふるさと納税ブームが一気に沈静化する恐れも出てきた。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)

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