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ソニー、一瞬の絶頂か…最高益の死角 直近四半期「722億円減益」の意味

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 減益見通しの背景には、これまでのような半導体需要が見込みづらいという経営陣の予測があるはずだ。実際、そうした懸念は高まりつつある。半導体市場で存在感の大きい韓国や台湾メーカーの株価は上値の重い展開が続いている。この2つの国の株価動向は、世界の半導体需要を反映して形成されやすいといわれている。

 これらを併せて考えると、17年にソニーは業績のピークを迎え、すでに増益のモメンタム(勢い)は低下に転じた可能性が高い。

コモディティー化するスマートフォン

 ソニーをはじめとする半導体メーカーにとってのリスクは、これまでの半導体需要をけん引してきたスマートフォンの価格が低下し、半導体そのものの価格にも下押し圧力がかかる展開が現実のものとなることだろう。半導体以外に収益を確保できる事業があればよいが、ソニーにはそれが見当たらない。

 世界のスマートフォン市場では、“コモディティー化”が進みつつある。コモディティー化とは、プロダクトの機能やデザイン面での差別化が難しくなり、価格競争が進みやすいということだ。端的に言えば、メーカーは違っても、機能、使った際の満足感は大して変わらなくなっている。

 これまで、多くの家電製品がコモディティー化してきた。かつてシャープがシェアを誇った薄型テレビの市場では、サムスンやLGの韓国企業がシェアを奪い、現在では中国企業のシェアが高まっている。

 この背景には、新興国企業の成長がある。技術力で先進国の企業が競争上の優位性を誇る時代ではない。人件費をはじめとするコスト、規模の経済効果の面で、新興国の企業の存在感は日増しに大きくなっている。

 それに伴い、プロダクトのライフサイクルが短期化している。それは、ヒット商品が生み出されたとしても、長期にわたって収益を維持することが難しいということだ。ヒット商品が生み出されても、しばらくすると類似商品が増え、陳腐化してしまうことが増えている。ひとつの画期的な商品を生み出すだけでなく、その次、さらにその先も人々から必要とされる商品やサービスを生み出そうと、連続的なイノベーションを目指す取り組みが求められる。

 すでに、スマートフォン市場でも、アップルの販売台数の伸び率が鈍化している。一方、ファーウェイなど低価格機種を手掛ける中国企業は販売台数を伸ばしている。スマートフォン需要は徐々に飽和し、業界の成長ペースも鈍化する可能性が高まっている。

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