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ソニー、一瞬の絶頂か…最高益の死角 直近四半期「722億円減益」の意味

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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注目されるソニーのイノベーション能力

 
 スマートフォン向けの半導体需要に支えられたソニーの業績は、徐々に伸び悩む可能性がある。環境の変化に適応するためには、新しい収益の柱を確立しなければならない。それが、経営者の責務だ。言い換えれば、自力で他社にはないプロダクトを生み出し成長を実現するという意味での実力が問われる。

 1990年代以降、ソニーは金融やエンターテインメントなど多種類の事業を営むコングロマリットを目指してきた。その結果、技術力を基礎にしてヒット商品を生み出す同社のスピリットは後退し、財務内容の悪化からリストラによる収益捻出を余儀なくされた。

 その体質を改め、モノづくりで稼ぐ基盤を整備したのが平井一夫前CEO(最高経営責任者)だ。2012年以降の同氏の取り組みは、米国を中心とする世界経済の緩やかな回復に支えられた部分も大きい。いずれ、米国の景気はどこかでピークを迎え、それとともに世界経済全体の成長率も低下するだろう。

 先行きの不確実性が高まりやすいなか、ソニーは半導体というパーツの供給メーカーから、ヒット商品を生み出す企業への再生を目指すべきだ。それは自ら変化を起こし、需要の創造を目指すということである。それが、持続的な成長に欠かせない。

 潜在的な需要が見込まれるのが、家庭向けのロボットだ。すでにロボット型の掃除機が普及しているが、家の中を自律的に移動しながらセキュリティ管理や、家電の操作、親がスマートフォンから子供の様子を確認する機能がロボットに備われば、日常生活はより便利になる。高齢者の暮らしも、より快適になるだろう。人間の仕事をロボットが奪うとの不安よりも、新しいデバイスの導入による、新しいライフスタイルや価値観を社会に示し、需要を生み出そうとすることが重要だ。

 もともと、ソニーは従来にはなかったエレクトロニクス製品を社会に提示し、新しい行動様式を示すことで需要を取り込んできた。そのスピリットを取り戻すことができるか、ソニーの実力が問われようとしている。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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